君と Ⅱ. (ページ10)

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二人でならんで歩く道。
櫻井は髪の毛を切ってくれた担当の人とどんな話をしただとか、相葉くんのこんなところが面白いだとか、楽しそうに二宮に話しかける。
そんな二宮は、帰り際に相葉に言われた言葉が気になって櫻井の話どころではない。

「そうだ、ニノ。このあとどうする？まだ夜飯の時間ではないけど軽く呑みにでもいく？休みだしこんな時間から呑むのもいいよねー」

「おー」

「あーでも家呑みもいいよね、こないだは俺の家だったしニノん家は？…ねえ聞いてる？」

「そうねー…」

二宮が自分の話を聞いていないことに櫻井は気がついた。だからといって二宮に怒れるわけではなく。

「ニノ、このまま帰る？」

「うーん……」

「俺はもうちょい話とかしたいけど…」

「んー」

「…ねえちょっと、ニノ！！おーいって！」

さすがに二宮の返答が雑すぎて、櫻井が歩みを止める。
櫻井の止まった歩みに二宮も自分が全く櫻井の話を聞いてなかったことに気づく。

「ご、ごめん翔ちゃん。なになに、このあとどうするって話だっけ」

「そうだけど、なに、全然話聞いてなかったじゃん」

「ごめん、考え事してた」

「そう…今日はもう解散しよっか。まだ夜飯には早いしね。考え事なくなるといいね」

そんな風に言う櫻井の機嫌が、なんとなく悪くなったような気がして二宮が探るように言葉をかける。

「…翔ちゃん怒ってます？」

「怒ってねえよ別に」

「いやでも、ちょっと言葉が冷たいと言いますか…」

「普通でしょ別に」

「えー…普通じゃないよー、ごめんって」

「あーもう、別に怒ってねえって言ってるじゃん！今日はもう帰ろう、って話だよ」

「まだ話足りないよ俺」

「俺の話は聞かないくせに自分は話足りないってだいぶ自分勝手じゃね？帰るよもう、じゃーね」

「ちょ、まってよ翔ちゃん、帰り道一緒だよ…」

二宮の言葉によって櫻井の機嫌がどんどん悪くなっていって、二人の間には最悪の雰囲気が流れ出す。

櫻井は自分が苛立っていることに気づいているが、なんでイライラしてるのか理由がわかっているから認めたくない。
二宮はそんな櫻井の気持ちを知るよしもなくて

「翔ちゃんごめんね、俺が悪かった」
「俺、お腹すいたなー」
「翔ちゃんの話がききたいなー」
「しょおちゃーん…」
「もう勘弁してください、ごめんて」

なんて櫻井に話しかけ続ける。
電車で帰るからさすがに車内では静かにしていたが、家に帰る道中は負けずにまた櫻井に話しかける。