君と Ⅱ. (ページ9)

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好敵手ページ9

二宮の中で相葉の下らない話を聞いている時間は案外楽しいものだった。

「よしっと、はいおわり！」

「…ありがとうございました」

「おうおう、イケメンになったんじゃない？」

「最初からイケメンですから」

「あははっ！言うね～」

「なになに、二人とも仲良くなった？？」

先に終えていた櫻井が、座っていたイスから腰をあげてこちらに近づいてくる。
以前よりも髪の毛がスッキリしていて、爽やかで櫻井によく似合うスタイリングもしてもらったようだ。

「あー翔ちゃんかわいくなったね！似合う似合う」

「なにそれ！男に言うことー？」

「俺だったらもうちょっとかわいくできたのになぁ、またおいでね。次は俺が担当するよ」

「うん、また伸びたらその時はヨロシクね」

「…なにイチャイチャしてんすか」

まるでこの空間に二人しかいないかのように話を続けるその空気の中に二宮が割ってはいる。
若干相葉のことを睨み付けながら。

「もうニノちゃん、怒んなって！」

「怒ってないよ。」

「ニノもスッキリしたね、似合うよ！」

「でしょ？担当した俺の腕が良いからなぁ」

そう言いながら相葉が二宮の肩をだく。
それを見た櫻井は見るからに嬉しそうにする。

「やっぱ俺の思った通り！二人が仲良くなってくれてよかったぁ…」

「ちが、翔ちゃん違いますよ。そんなに仲良くなってないから」

「そうなの？」

「ニノちゃん恥ずかしがり屋さんなのよ！仲良くなったよ♪」

「よかったーー…！自分の友達が、俺を介して仲良くなるってそんな経験も初めてだから、めちゃくちゃ嬉しい。友達として大好きな二人だから」

キラキラした顔で二人を見る櫻井。
見つめられた二人の顔は対照的で、自分もそう思うと言わんばかりの笑顔なのは相葉で。
二宮はなんともいえない、居心地が悪そうな顔で櫻井から目をそらす。

「……あ、ごめん二人とも！そろそろお会計を！俺次の予約あるからさ！」

「そうだよね！寧ろごめん、終わったくせに待ったりしてて」

「全然いいよー、友達が職場に来てくれるってスゴい楽しかった！ニノちゃんも親友割引するからまた来てね」

「親友なんて、結構です。…まあでもまた翔ちゃんとくるよ」

「ツンデレ～！！」

「うっせー」

お会計を終えて店をでる二人。後ろを歩く二宮の肩を相葉が掴んで引き留める。

「友達として大好きな、だってさ。その境界線どうやって壊そうか、頑張ろうね」

「はっ？！」

相葉はいい笑顔で二人を見送る。