君と Ⅱ. (ページ6)

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二人して髪伸びたねなんて話をしていたら、突然櫻井がなにかを思い出したかのように声をあげる。

「どーしたの翔ちゃん」

「一緒に切りいく？」

「…は？」

「来てねって言われたの忘れてた！親友割引してくれるみたい、ふふふ」

「ふーん、親友割引？」

二宮の中で『親友』というワードが引っ掛かる。
何度か櫻井との会話に出てきた、話したこともないある人物を想像してみる。
櫻井も二宮が静かになったことに気がついたようで

「あ、や、違うかな！親友割引じゃなくてー…知り合い割引！」

「なんだそれ、危ないやつでしょうよそんなの」

「そうそう！危ないから今のなし！」

「いやいや、翔ちゃんがいくなら俺も行くけど、髪の毛切りたいし。あとその翔ちゃんの親友に会いたいなーと？挨拶しとかないとね」

「あ、はい」

櫻井に拒否権はないようで…
二人は櫻井の『親友』が働いている美容室に一緒に行くことになった。

「翔ちゃんの親友スゴいんですね」

早速二人は休みを使い美容室にやって来た。
櫻井は前日に彼に連絡をいれていて、『やっときてくれるの！！お昼時なら俺空いてるからそのくらいに来てね♡』という返信をもらっていた。

櫻井は彼に言われた通りの時間にお店に入れるように、と二宮にお店の地図を送り付近のカフェで少し早めに待ち合わせをしていた。

櫻井がカフェに入ると既に二宮が席にいて、周りにいる女性たちから注目を浴びていた。
頬杖をつきながら外を眺め、片手に持つコーヒーカップに口をつける。
その姿が妙に決まっていて、櫻井は入り口で立ち止まってしまう。
そんな櫻井に気づいた二宮が待ってたよー、と言いながら手招きをして、近づいてきた櫻井に呟いた言葉が冒頭に繋がる。

「あんなに混雑してる美容室は始めてみたわ、芸能人御用達みたいな感じ」

「俺もビックリしてる、お昼時は空いてるって返信来たんだけど…」

「まぁ、予約もせずにくるお客さんとかもいるだろうしねえ…翔ちゃんと俺は予約してるんでしょ」

「うん、それはバッチし」

「じゃあ大丈夫だよ」

そう言いながら二宮は隣の椅子を引いて、櫻井に座るよう促す。
そんなことをサラッとやってしまう二宮に、改めて櫻井は感心する。

「なに？」

「やっぱニノかっこいいよね。女子にモテる理由がわかる。」

「……翔ちゃんにも効くの」

「めちゃくちゃ効いてる、敬いそう」

「そーじゃないんすよ」

二宮はそう言いながらもとても嬉しそうである。