君と Ⅱ. (ページ22)

今日:15 hit、昨日:0 hit、合計:45,462 hit

・ページ22

二宮が腕を引っ張ってみるものの、櫻井は頑なに動こうとしない。

「翔ちゃん、お願い、風邪引いちゃうでしょ」

「…優しくしないで、もう俺はニノに関わっちゃダメなの。」

「なんでそういうこと言うの。」

「…っ、俺が自分の気持ちに気づいたのが遅かったの、でもそれでも気づいちゃったからもうどうしようもなくて、」

「翔ちゃんの言いたいことちゃんと聞くから、俺の家行こう？翔ちゃんの身体冷たくなってる、本当に風邪引いちゃうよ。」

二宮が優しくそう伝えると、櫻井は座っていた腰をあげた。

二宮の家に向かう道中、二人に会話はない。櫻井は二宮に持ってきてもらった傘を差し、少し俯きながら歩く。空いてる方の手は二宮により少し強めに握られている。

「はい、入って」

「…お邪魔します」

「ちょっと汚いけど、とりあえずここ座っといて。」

二宮はそう言って櫻井を座らせると、散らばった物を集めて隣の部屋に放り投げた。

「そんな、それ雑に扱っていいの？」

「あー、いいのいいの。邪魔だからとりあえず、ね。…お茶でいい？」

「あ、ごめん。気使わないで…」

「はいはい、お茶ね。」

先ほどまでの重い雰囲気はどこへいったのか。
二宮が鼻歌を歌いながらお茶の準備をする。

「はい、どうぞ。」

「あ、ありがとう」

「ん。」

櫻井の座るソファにもたれるように二宮が座る。

「「………」」

二人の間には静寂が流れて、そんな空気に耐えられなかった二宮が声を出す。

「…ごめんね翔ちゃん」

「えっ！？」

「えっ、て何ですか。帰り道のこと、ごめんね。怒ってごめんなさい。」

「違う、ニノは全然悪くないんだよ…。俺が勝手に怒って、当たって、謝らなくちゃいけないのは俺…。本当にごめんなさい。」

「うん。」

「…あと、あの相葉くんが…」

櫻井が相葉の名前を出した途端、二宮の空気が変わる。

「相葉さん、がなに？」

「ニノに電話、したよね？」

「…うん」

「あの、内容は全部忘れて」

「どういうことですか」

そう二宮が問えば、あれは全部嘘だから、と櫻井は伝える。

「嘘？」

「うん、まあ全部ってわけではないかも知れないけど…でも俺のためにしたことなの。相葉くんも悪くないんだよ」

「ちょっとよくわかんないんだけど…それも含めてさ、翔ちゃんは俺の家にきてまでなにを伝えたかったの？」

「ニノにちゃんと謝って、それで…」

「うん？」

そこまで言うと櫻井は言葉を止めてしまう。