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「…はぁ……翔ちゃんどこなの」


櫻井を追いかけて家を飛び出してみたものの、彼を見つけることができない。

櫻井の家を訪ねてみたが、もちろん帰っているわけがなく…
雨脚はどんどん強くなっていて、傘を持っていない櫻井が心配になる。


「あのお兄ちゃん雨でびしょ濡れだったね〜。傘あげればよかったかな?」
「でも俺たちも一本しかないからムリだよ」
「そっかぁ〜…でも可哀想だったなぁ…」


二宮は、前を歩いていた少年たちの話が気になり声をかけた。


「ねえ、ごめんね。ちょっといい?」

「…お兄さん誰?」

「あぁごめんね、お兄さん人を探してて。その人傘持ってないから早く見つけてあげたいの。君たちのお話が聞こえてさ?傘持ってないお兄ちゃんどっかで見た?」

「あっちの公園にいた!あのお兄ちゃんのお友達でしょ?すっごい悲しそうにしてたし、寒そうだったよ。早く行ってあげてね」

「うん、教えてくれてありがとうね。」


二宮は少年たちにお礼を言って、教えてくれた公園に向かう。







「……雨強いなぁ、明日も仕事だし風邪引かなきゃいいけど。………もう顔も見れないな」


土砂降りの中公園で遊ぶ子供なんているわけがなく、櫻井は一人寂しくブランコに腰をかけている。


「雨と一緒に全部流れてくんないかな」


櫻井はそう言うと天を仰いで目を瞑る。
降り注ぐ雨は大粒で、すでに櫻井の身体はびしょ濡れである。


「…ねえ、なにしてるの」


櫻井に降り注いでいた雨が突然何かに遮られて、聞き慣れた声が聞こえた。
目を開けてその声の人物を確認したいが、怖くて目を開けられない。


「………」

「無視?」

「……っ、」

「そりゃひどいな翔ちゃん。」


そういうとその人物は櫻井の頰に手を当てる。
冷たくなっていた体に暖かい体温が伝わって、櫻井はつい目を開けてしまう。


「やっと目があった。…風邪引いちゃうよ。なにしてるの。」

「…ごめん」

「ごめん、じゃないよ。傘も持たないで馬鹿でしょあなた。俺に会いに来たんでしょう?顔も見ずに言うことだけ言って、というかまだ話は途中だったのに……」

「…ご、ごめん。もう俺、ニノに関わらないから」

「…はぁ?何考えてんのか知んないけど、まあいいや。とりあえず俺の家行こ。風邪引かれたたまったもんじゃない」

「…い、いやだ」


二宮は櫻井の腕を引くが、櫻井は動かない。


「ちょ、なに翔ちゃん。イヤってどういうこと」


二宮は櫻井の言葉に顔を顰める。

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作者名:モノ | 作成日時:2017年7月31日 21時

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