君と Ⅱ. (ページ20)

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櫻井は相葉と話したことで自分の気持ちに気づくことができた。

素直になって謝って、本当のことを彼に伝えて仲直りをしたい

と決心した櫻井はすぐに行動に動いた。
相葉との電話を切って、家を飛び出す。外はポツポツと雨が降ってきていたが、そんなことはどうでもよかった。

早く会いたい、謝りたい、気持ちを伝えたい

二宮の家に着く頃には全身びしょ濡れで、走って来たせいで息も上がっていた。

部屋の扉の前に立つと、急に緊張してきてインターホンを押そうとする櫻井手が震える。
怒っている二宮が部屋を開けてくれるのか、自分の顔なんて見たくないんじゃないか、なんてことを考えてしまう。

櫻井は力の入らない拳で、トントントン、と扉を叩いた。

「誰ですか」

扉の向こうからこちらを伺う二宮の声が聞こえて、櫻井はすぐに返答をした。
それでも二宮の顔を見て話せない状況のせいで大きい声が出ない。

自分の気持ちは彼の顔を見て伝えたい

そう思って、家にあげてくれないかと尋ねるが二宮からは断られる。
その後も二宮は櫻井に収まらない怒りの気持ちを伝え続けてくる。

「もういいよ。もう俺は…」

と、その後に続く言葉を聞きたくなくて櫻井は逃げるようにその場を立ち去る。

二宮があんなに怒っていたなんて、今更自分が謝ろうとしてももう遅いんじゃないか。
自分の気持ちに気づくのも遅すぎて、全部全部やり直したい。

走り出していた足は徐々に走りを止めていて、その代わりのように涙が溢れてくる。
櫻井は相葉と話して二宮に対する自分の気持ちを認めた。
認めてしまえば今まで隠していたものが解放されたかのようにどんどんどんどん気持ちが大きくなっていった。
しっかりと謝って、そのあとに大きくなって溢れそうなこの自分の気持ちを彼に伝えたい、とそう思っていた。
でも実際はそう簡単にはいかないもので

空を見上げれば大粒の雨が顔に降りかかって、自分が泣いてるのかそうじゃないのかもわからない。

この雨と一緒にこの想いも自分の中から流せればいいのに、と櫻井は思った。

「…あー、そういえばこの先公園あったよな」

この雨で公園で遊ぶ子供なんていないだろうし、自分はもう雨でびしょ濡れだから気の済むまで雨に打たれていよう、と歩みを進めた。