君と Ⅱ. (ページ15)

今日:17 hit、昨日:0 hit、合計:45,464 hit

・ページ15

好きな人のために、と思ったものの二宮は警戒心むき出しで、話を振れば「はい」だとか、「そうですね」だとか…

鏡越しに見える櫻井の後ろ姿を眺めながら、興味なさげに返答をするだけだった。

ここで負けない心を持っているのが相葉だ。
どんなに冷たくされても話しかけた。
それでも興味を示さない二宮に内心諦めかけたところで、二宮の"俺らは客と店員だから仲良くなるわけがない"という壁の作られ方についカッとなり自分の本心で話してしまった。

あぁ、これは失敗したな。と、恐る恐る二宮の顔を覗き込んだ。
しかし、今までどんなに話を振っても顔色一つ変えず目もなかなか合わせてもらえない二宮の心に何か響いたものがあったのか…
直接目を合わせてくれて素っ気ないながらも返答もあって

壁が薄くなったかな？なんて嬉しく思った。

そのあとの会話では、突っ込んでくれるし笑顔も見せてくれるしで、いい出会いができたことに感動をして櫻井の話を切り込むことを忘れてしまった。

二宮のカットが終わると、先に待っていた櫻井が近寄って話しかけてくれるものだからそっちに気を取られてしまうし、その後二人はずっと隣同士だからなかなか二宮一人に仕掛けるタイミングも掴めなかった。

しかしお店から二人が出るその時に、丁度二宮が一人になったから、ここだ！と肩を掴んで言葉を告げた。

すると二宮は見るからに驚いて、声を上げて。

やってやった、ここからは頑張れよにのちゃん！と達成感でいっぱいになった。
余計なお節介でこのあと二人がどうなるかなんて知りもしないから。

仕事が終わると携帯を開いて、櫻井から御礼のメッセージでもきてるんじゃないかと確認をした。しかし相葉から送ったメッセージに既読すら付いておらず、気になって電話をかけてみた。

電話を受けた櫻井の声はひどく落ち込んでいて、何かあったのかと聞いてみた。

すると、櫻井から相談を受けた。

話を聞いて自分の責任だと感じたし、二人の間に入る余地すらないことに悲しくも思った。

しかし相葉は、好きな人のために、櫻井のために頑張ろうと誓ったばかりなんだ！と自分を奮い立たせた。

好きな人が落ち込んでいるのは自分も悲しい。しかも自分の起こした行動がきっと原因な訳で。

それならばすることは、ただ一つ。

櫻井に元気になってもらうためにも、二宮に自分の気持ちに素直になってもらって二人にハッピーエンドを迎えさせることだ！と。

そう、相葉は突っ走りやすい馬鹿なのだ。