君と Ⅱ. (ページ13)

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プルルル…プルルル……

二宮の携帯がなる。

すぐさま画面を確認するが、欲しかった相手からの電話ではない。

「…はい」

『声ひっく。』

「なんですか、相葉さん。忙しいんで切りますよ」

『ひでーな、出てくれたんだから今大丈夫ってことでしょ～』

今の二宮の気分は最悪で、電話越しの明るくて調子のいい話し方に、イラッとする。
ましてや櫻井と喧嘩した一番の要因はお前だ、と思っているから余計である。

「なんなのマジで、今あなたと電話できる元気ないよ」

『あー、じゃあ手短に！！さっき帰り際に俺が言ったこと覚えてる？』

「…あぁ、まあ」

『俺翔ちゃんに好きだよって言ったんだけど、断られなかった』

二宮は言葉に詰まってしまう。

『あり、ってことかな？どう思う？』

「……知らないですよそんなん」

『ねえ、いい？』

「…は？」

『翔ちゃん、俺のものにしていい？』

「勝手にすれば」

『うん、じゃあもう会わないで』

「同じ会社だからそれは無理ですよ」

『フロアが違うんでしょ？そう聞いたよ。それでもすれ違うって言うなら話すのはやめて』

相葉からの一方的な条件にイライラが募る。

「……ねえ、なんか成功した、みたいに話してますけどべつに断られなかったってだけでしょあなた。」

『そう、断られなかった。俺は行動を起こして断られなかったって事実がある。じゃあニノちゃんは？俺はさ、好きな人の近くに好意を持ってる人間がいるって嫌なんだよね。行動を起こした後の翔ちゃんの反応が怖い？だからなにもしてないんでしょ？それなのに近くにいるってなにそれ、ズルいよニノ』

「……」

『返す言葉もない？ニノの気持ち初めて会った瞬間に分かったよ。翔ちゃんを見る顔、声全部が俺とか他の人に対するものと違くてさ、分かりやすいって思った。でも翔ちゃんは気づかないんだろうね、だからあえて翔ちゃんじゃない、他の人には気づかれるようにそうしてるんでしょ？牽制のつもり？ズルいなービックリするほどね。』

相葉の言う言葉が全部、そうなのだと、たとえ違うとしても、その通りだ、といわんばかりに二宮の心に突き刺さる。

『真っ当に、真っ正面からいってる俺からしたら、言葉は悪いけど鬱陶しいよそれって。だからさ、本人に行動を起こさないつもりならもう関わるの辞めてよ。ニノがいなくなったら翔ちゃん寂しがるんだろうけど、俺がいるから大丈夫だし。俺のものにしたい。だから、ね？』

二宮から言葉はない。