君と Ⅱ. (ページ1)

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初対面ページ1

「濃い週末だったなぁ～…」

「独り言がデカイですよ先輩」

月曜が始まった。

社会人にとって週末は、自分に休息を与えて次の週に備えるためのものだ。

休息というものは人それぞれなのだろう。
友人とご飯に行ったり、一人でカラオケにでも行ってストレスを発散したり、文字の通り家でゆっくり身心を休めたり…
どれもこれもその人からしたら休息である。

櫻井にとっての休息は、文字通りであった。

以前の櫻井は休みこそ動かないと精神でキッチリとスケジュールを立てて過ごしていたが、働き詰めの身体にはキツいものがあった。今は一人でゆっくり家で好きなことをするのが週末の楽しみになっていた。

なのに、だ。

飲み会に誘われ、初めて"親友"ができた。
まともに話したことのなかった同期と"友達"になった。
家に呼んで一緒に呑んで一緒に寝て戯れて…

櫻井は昨日の出来事を思い出し顔が熱くなる。

櫻井はそこまで親しい友人はできたことがないし、二宮のことを人との距離が近い人だと知っていたから、その時はそこまで不思議には思わなかった。

しかし、いざ時間が経ってから考えてみれば友達というには距離が近すぎるような…

実際、会社の後輩たちを見ていても同期感であんな戯れ方をしている雰囲気はないし…

櫻井は後輩たちのことを想像してみて、初めて客観的になった。

「いや、うん、ないよなぁ…」

「なにが？」

背後から櫻井のお腹辺りに手を回す人物。
そうして櫻井を覗き込むように話しかける。

「お、は、よ」

「うぇ、ニノ！？ビックリした…」

「ビビり～」

んふふ、なんて笑いながら回す手は離れない。
ここは職場でしかも後輩の前で

「ちょ、おい、ちけえし…ニノ階が違うでしょ…」

「あー、掃除手伝いにきたよ」

なんて言う二宮はロッカーをチラリとみる。
そこには小さなバケツと雑巾が置かれていた。

「自分の部署の掃除をしなさいよ…」

「女の子たちが綺麗にしてるから、男の俺は邪魔できませーん。」

「今まで沢山邪魔してたくせにどの口がそれを…」

「聞こえません。俺は翔ちゃんとこの部署の掃除をしたい、そしてどんなやつらと仕事をしているのかみたい」

「今俺らは見られてんだよ！近いだろ！」

二宮が来てからというもの、掃除をしなから話していた後輩たちが静かになった。
それはつまり、二人の会話を聞いていてこの光景を見ているのだろう。

「櫻井先輩、俺ら別に変だと思ってないですよ」

「え？」