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chapter6 ページ36

そっと息を潜めて、奥のドアを見つめる。

その時間はまさに、何倍にも長く感じて。







すると、そっと、


ぎぎっと音をたてて、


奥のドアが、小さく開いた。





中からそっと出てきたのは、
もちろん大晴くんで。


小さく小さく開けた扉の隙間から、
そろっと、間を縫うように出て来て、
そのままそっと、扉を閉めた。





「ほら大晴、自分で説明できるやろー、」



マスターが私の後ろからそう声をかけると、

固くなっていた大晴くんの体から、少し力が抜けた気がした。







しばらく続く沈黙。

ものすごく長く感じて。




『...いつから、帰ってたん、』


私から声をかける。






「...出てった、次の日、で、...」






『...へ、』


うそやん、そんな早くから。

『...全然、気づかんかった...』



こんなに、毎日探してたのに、
こんなに、毎日心配してたのに、

そりゃ、見つからない訳で。





...なんか、こんな近くにいたなんて、



『...ふふっ、....』


思わず、小さく笑いを漏らした。




その様子を見た大晴くんが、急に焦りだして、

「いやあの、ずっと出てこようとは思っててんけどっ、


...せやねんけど、なんか、

やっぱ、勇気が、なんか、出んくて...っ...」



って、弁解しようとするから。




『いいよ、別に怒ってへんよ。』


そっと、優しくそう言った。

だってもう、さっきの誠也くんの言葉で、私の心はだいぶ軽くなったから。



そのままの私で。

そのままの気持ちを伝えればいいんだって。

そう考えると、前までの弱い自分が、どっかいった気がした。

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もんきー(プロフ) - ぱちさん» ありがとうございます♪これからもがんばります(*´-`) (2019年9月9日 12時) (レス) id: 4eaf4f2a0b (このIDを非表示/違反報告)
ぱち(プロフ) - 誠也ああああ( ; ; )出てきたああああ!!って喜んだ末澤担です。すごい惹きこまれる作品です!これからも応援しています♪ (2019年9月8日 9時) (レス) id: ac613d93b7 (このIDを非表示/違反報告)
もんきー(プロフ) - しげつぐ。さん» ありがとうございます!喜んでいただき光栄です。また更新するので、ぜひまた読んでください! (2019年8月21日 14時) (レス) id: 4eaf4f2a0b (このIDを非表示/違反報告)
しげつぐ。 - 大晴くんのお話嬉しいです!これからも更新頑張ってください!また、見ます! (2019年8月21日 0時) (レス) id: 693825418e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もんきー | 作成日時:2019年8月11日 17時

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