喫茶「心音」

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結局アイスを４つも買ってしまった。


コンビニのビニル袋を片手に、そっとドアを開けると、
ソファの上で、漫画を読んでいた彼がふと顔をあげる。



「おかえりなさい、....あ、アイス、ありがとうございます、」


今日はいつもに増してよく笑う彼。
ずっと目尻が下がってるし。




そうこうしているうちに、私の左手のビニル袋は奪われ、
４つもあるやん！なんでこんな買って来たんですか！！と目を輝かせたと思ったら、
早速お目当のアイスを開けて頬張っている。


スプーンを加えて、ん〜〜〜、うまぁー、と幸せそうにするから、
思わず私もつられて頰が緩む。




『...何かいいこと、あったんですか？』


「えぇー、それ、聞いちゃいます？」


『そんなん言っといて、めっちゃ聞いてほしそうなくらいテンション高いですよ。」




えぇー、バレたかーと、また嬉しそうに言うと、
カウンターの中から、食材がいっぱい入ったビニル袋を持ち上げた。




「実はね、どうしても外に出たくなっちゃって。
Aさん今日は３限終わりでバイトもないって言ってたから、
今日は俺が腕ふるっちゃおっかなー、なんて、思ったんすよっ」





前まであんなに頑なに外に出なかった彼が、自分から外に出たなんて。
しかも買い物までしてくるなんて。


驚きを隠せなかったが、それよりも彼が嬉しそうで、楽しそうで。
いろんな心配が浮かんで来たけど、すべて吹き飛ばしてしまう彼の笑顔は、
なんとも言えない中毒性があって。



私は依存せざるを得なかった。

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