【短編集】短め置き場【d!】 (ページ3)

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さて。乾杯は済んだ。私はとりあえずソフトドリンクから始まったこのカラオケオール。
「誰から歌う？」
コネシマさんが機械をぽちぽちしながら問う。

そっと、ショッピさんがコネシマさんから目を逸らした。グルッペンさんはコネシマさんと機械を覗き込みながら何かを探している。
ちなみにもう１台の機械は私とトン氏の間にある。トン氏はサイドメニューを眺めていて、チーノくんは私をじっと見つめている。
コネシマさんがチーノくんを見て、その視線を辿って私に行き着く。

「歌うか？」
マイクが差し出される。問答無用だ。
チーノくんがニヤニヤしながらこちらをむく。君、私とほぼ初対面だろう....!!ショッピさんは興味無さげにすました顔でストローを咥えている。
不意に隣を見る。ばち、とトン氏と目が合う。

「何歌うん？」
トン氏はメニュー表を置いて機械を手に取る。
もう、やけくそだ。
『God knows、って打ち込んで欲しい』
「お」
トン氏がにまりと笑った。その顔はこの曲を知ってる顔だ。

そこからは流れ作業だ。時計回りにマイクが回る。
私のGod knowsを皮切りに、チーノくんは涼宮ハルヒのオープニング、ショッピくんはまさかのボカロ、コネシマさんは何かのゲームテーマ、グルッペンさんは何故か軍歌。
今はトン氏が機械を弄っている。

『トン氏何歌うん？』
「うーん、これかなぁ」
ピピッ、という音とともに画面に出たのは''天体観測/BUMP OF CHICKEN''の文字。

正直言って、舐めてた。確かに鼻歌とか聞いてても上手だとは思っていたし、元々トン氏は声がいいからなぁとか思ってはいた。でもまさかここまでとは思わなかった。

『めちゃうま....』
「ありがとう」
照れたように笑うトン氏。
『けど、結構チョイス古めなんやね。私らの世代って天体観測流行って3,4年経っとったくない？』

1周回り切ったので、歌いたい人が歌いたいタイミングでマイクを握っている。今はグルッペンさんが「ぼーぎゃーくのくーもひかりをおーい、てーきのあらしはあれくるうー！」と非常に楽しそうに歌ってらっしゃる。

「そうか？丁度流行りやったで、俺の時は」
『そう？私らが4年くらいの時に流行った曲じゃない？』
「あー、せやな」
トン氏は何故か少し気まずそうな顔をしている。うん？と思っていると、チーノくんがトン氏に話しかけた。