【短編集】短め置き場【d!】 (ページ1)

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同い年だと思い込んでたけど実はトントンが年上だった系同僚ページ1

「今晩から明日なんやけど、良かったらカラオケオール行かへん？」
そう言って笑うのは、部署の先輩であるコネシマさん。
『カラオケ、ですか』
うーん、と少し悩む。今日は華の金曜日。オケオールには最適だ。

歌うのは嫌いじゃない。音痴って訳でもないとは思う。少なからず今まで生きてきた中で音痴だと言われたことは無い。
違う、違うのだ。明日は好きな某白い実況者のずっと待っていた新作の動画があがる。
それを家でビールでも飲みながら見ようかな〜とか思っているだけなのだ。

「まぁオールが無理やったら途中で帰ってもええけど。なんなら家まで送るし」
ニコニコと笑いながらハンドルを動かす素振りをするコネシマさん。
『ちなみにどなたが参加されるんですか？』

陰キャにとって、これは大事である。
コネシマさんは陽キャ寄り(というか陽キャ)ではあるが、部署の先輩として大変お世話になった。それに、何より気さくで話しやすいし、意外と話が合う。
だがそれはそれ、これはこれだ。カラオケで涼宮ハルヒの憂鬱とかがっこうぐらしとかボカロとか歌っても引かれない人選なら正直行きたい。ストレス発散だいじ。うん。

「えーと、今声掛けてんのがグルッペンと〜エミさんと、ショッピくん。あとチーノと...」
「わしも行くで」
後ろから不意に声がかかった。
『トン氏、行くんか』
「おん」

トン氏。別名同志トントン。私の同僚だ。本名は富田林屯。めっちゃトントンじゃん、と笑った覚えがある。
入社式で席が隣りで、部署も一緒だった事から仲良くしている。そしてこの男、めちゃんこに仕事が出来る。絶対定時に帰る。たまーに気分が悪そうな日もある。男の子の日かな？？
どうやらこの部署に知り合いも多いらしく、先に名前の上がっていた人たちとは馬鹿みたいに仲がいい。なんならタメ口だ。つよい。私じゃ絶対できない。

「マンちゃんやっぱ来うへんて？」
「おん、タバコの匂いが移るのがあかんらしい」
「そんなん禁煙部屋入りゃええんちゃうん？」
「シッマ、タバコの匂いってのはお前からもしとんやで.....」
「ぎく」

ほんで、君は来るんか？
コネシマさんがこちらを向く。
まぁ、メンバー的には悪くない。ショッピ君やチーノくんは後輩だけどあんまり話したことないし、これはいい機会かも知れない。というか、単純に歌声が聞きたい。