お隣さま。番外編 【はじめしゃちょー】

料理中はダメ ページ24

Aside




次はネギをみじん切りっと。

頭の中で料理の手順を浮かべながら、晩ご飯の支度を着々と進めていく。

まな板にネギを乗せて斜めに切れ込みを入れと、トントントンと細かく刻んでいった。

あともう少し、とラストスパートに差し掛かった時だった。


「A〜」

「きゃあっ！」


はじめさんが後ろから抱きついて来て、私の意識がネギから一気に逸れる。
そして、ビクッと身体が跳ねたと同時に手に持っていた包丁を落としそうになった。


「あっぶね〜…」


間一髪、はじめさんが包丁をまな板に押さえつけてくれたから包丁が宙を舞うという最悪の事態を防ぐことができて、私をほっと胸を撫で下ろす。


「ごめんな、料理中に驚かせて」


とっさに怒ろうと思ったけど、はじめさんがしゅんとしながらそう言うもんだから「私もはじめさん来てるの気づかなかったし。ごめんね」と微笑みながら謝った。


「それより、なにか用事でもあったの？」

「ううん？ Aにひっつきたかっただけ」

「……。」


なんでそんなこと言うかな。
きっと今私真っ赤になってる。


「俺こうしてるから料理続けてて良いよ」


そう言って私の身体に後ろから抱きついてくる。
包丁を持つ手が震える。

この状況下で料理はできない…！！


「料理中はダメ！」

「料理中じゃなかったらいい？」

「え、ちがっ…そういう意味じゃ…」


はじめさんは、狼狽える私にチュッとキスを落として「じゃあ、続きはあとでね」って言ってキッチンから離れた。


〜〜『あとで』って……！！




〜料理中はダメ:Fin〜

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