上目遣い ページ11
Aside
「ドキドキする?」
「え…っと…なっ何いきなり?」
読んでいたファッション誌を片手に、私は下から見上げるようにはじめさんを眺める。
ー『彼をドキドキさせるには、上目遣いが効果的☆』。
なんて、雑誌に書いてあったことを真に受ける訳ではないけど、実際に試してみたくなったわけで…。
…だけど。
「…そんな訳ないよね! ごめんね、ちょっと試してみたかっただけだったの。まあ思った通り効き目は無いみたいだね」
私の突然の行動に驚いたような反応をするはじめさんを見て分かった。
やっぱ、こんなんじゃドキドキさせられないか…。
ほんの少し残念な気もした。
「邪魔してごめんね。編集続けて?」
そう言って立ち上がると、手首をぐっと引かれる。
「わっ!」
「……バカ。めっちゃ効いた」
「っ!」
耳元で囁かれた言葉の意味に気づいたのは、はじめさんが熱がこもった目で私を見つめるから。
そんな目に捕らえられて逸らせないまま、私の気持ちは焦りだす。
「ねぇ、A。 俺のこと呼んで?」
「はじめ…っ んんっ」
言い終わった途端に口を塞がれる。
はじめさんの両手が頭を包み込むように捕まえられているせいで、キスの終わりが見えない。
酸素を取り込もうと口を開くと同時に舌がねじ込まらる。
舌しびれそう……。
やっと唇が離れた時には、力が抜け、全身が火照って、視界も薄っすらと滲んで見えた。
「……それもワザと?」
なにが…?
首を傾げると、はじめさんは「そんな訳ないか」ってふっと笑った。
そして力が抜けて座り込んでいる私を見つめながら、ため息をつく。
「その顔ヤバイ。すっごいそそる」
「…顔真っ赤だよ、はじめ」
「〜〜そこで呼び捨ては更にズルいっ!」
赤い顔で慌てるはじめさんが面白くて、ふふっと小さく笑った。
「その気にさせたのはAだからねっ…?!」
「わ…っ、待って……んぁっ」
そのまま後頭部に手が添えられ、首筋に噛み付くようにキスされる。
ゾワッと身体が甘く痺れて吐息が漏れる。
恥ずかしい…!
「Aも真っ赤だよ」
「〜〜〜…っ!!」
勝ち誇ったようにニヤッと笑うはじめさんを、私はただ睨みつけることしかできなかった。
〜上目遣い:Fin〜
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れもん - すごくいい話だった!!本編も番外編も!他の作品も楽しみにしてますね! (2020年5月3日 19時) (レス) id: cf66eac031 (このIDを非表示/違反報告)
五十鈴 - 番外編もとても面白かったですよ。頑張ってくださいね。 (2020年4月29日 11時) (レス) id: 72cbecfd4c (このIDを非表示/違反報告)
紗絵α(プロフ) - 萌えさん» 嬉しい…(*^^*)頑張ります! (2017年4月5日 9時) (レス) id: 47542c7bf8 (このIDを非表示/違反報告)
萌え(プロフ) - 紗絵αさん» 楽しみにしてます! (2017年4月5日 8時) (レス) id: bea4ced3e1 (このIDを非表示/違反報告)
紗絵α(プロフ) - 萌えさん» 初めの方から…!!ありがとうございます(T . T)すごく嬉しいです!次の作品作りますよ^^ 今新作を練りに練ってます(笑)あまりお待たせしないうちに出せるようにしたいと思ってます。 (2017年4月5日 6時) (レス) id: 47542c7bf8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紗絵α | 作成日時:2017年2月14日 0時