deva loka(絆）2

コーチの息子4 ページ4

アリ「さっきから言ってるけど、アツトが生物学的に父親だから。日本人だって！」

友哉「へっ？」

アリ「めんどくせ〜な。ほら、俺の生物学的母親と父親。」

そう言って、アリーはアルバムを出してきて見せてくれた。

若い頃の内田コーチと、すっごいキレイな外人さん。

友哉「あのママは？」

アリ「アツトの奥さんで、俺の物理的ママ。本当の母親が天国行っちゃったから、引き取ってもらった。」

友哉「そう。」

やっぱ、世界的レベルの選手はいろいろ次元が違うな〜って思った。

俺の父さんも天国行っちゃったけど、違う親が外国から現れたりしないもんな。

「アリー、アツトが来たから降りてらっしゃい。」

下から呼ぶ声が聞こえて、俺達はまたリビングに戻った。

友哉「おじゃましてます。」

リビングにはいつも見た事のないスーツ姿の内田コーチがいた。

内田コーチ！！！

かっこいい！！！

『プレゼント、ありがとうな。杏も気に入ってるって？』

アリ「たぶん、動けるようになったら遊ぶよ。」

友哉「はい。」

俺は緊張して言葉にならない。

『晩飯、食っていくか？』

友哉「いえ、母が待ってるんで、帰ります。」

『あっ、待たせちゃってごめんな。』

友哉「いえ、ケーキごちそう様です。」

「礼儀正しい、いい子ね。親のしつけがいいのね。」

『友哉のうちは、母さんが学校の先生だもんな。』

なんで知ってんのかな？

子供達のプロフィール帳、ちゃんと把握してんのか？

俺は丁寧にお辞儀をして玄関をでた。

俺がちゃんとした事をすると母さんも褒められるってわかった。

じゃあ、逆に悪い事をしたら…

母さんには迷惑かけられない。

ちょっと、大人になった気持ちだった。


内田アツトファンの母さんにはアリーの事内緒の方がいいのかな？

俺はうちに戻った。

今はまだ狭い団地暮らしだけどいつかは日本代表に入って母さんにもっといい家をプレゼントしたいな。

友哉「ただいま〜。」

母「お帰り〜。ごはんできてるわよ」

友哉「うん。拓哉は練習？」

母「うん、オリンピックも近いからね。」

友哉「拓哉、オリンピック行ったら豪華なうちに住めるかな？」

母「プロじゃないんだから、オリンピック行ったってたいしたお金にはならないわよ。」

友哉「じゃあ、俺が頑張るしかないね。」

母「ｗｗｗ、期待してる。」

母さんは鼻で笑ったけど、俺はいつか内田選手みたいになるからね。

でも、外国はやめておこうかな(笑)

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