裏・ハマナスは潮風に吹かれ咲く (ページ4)

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同級生ページ4

政敏「珍しいな新幹線じゃないんだ？」

政敏は俺の隣の通路側の席に座りシートベルトを締めた。

『取れなかった…』

政敏「俺は、チビ連れだとこっちの方が楽だからさ…」

確かに、拘束時間はだんぜんこっちの方が短い。

政敏「何？ひとり？Aは？」

『一緒じゃない。』

政敏がどこまで知ってんのか分らず、無難な答えで答えた。

政敏「優子から聞いたよ、やっとくっついたって…」

そうか、Aが優子に彼氏として報告してくれたことは嬉しかった。

政敏「それにしても、何年来の仲間の俺にも、教えてくれても良いんじゃん。」

だって、手放しで言える状況じゃない…

『お前だって、彼女できるたびに俺に報告してないじゃん。』

俺がそう言うと、政敏が肘で俺の脇腹を小突いた。

奥さんに聞かれちゃマズイ(笑)

幸い飛行機のエンジン音で2人の会話は周りには届かない状況だった。

政敏「結婚前に一緒に住むって、どんな感じよ？」

政敏はニヤニヤしながら聞いて来たけど、

残念ながら、政敏が想像しているような事は俺達の間にはなかった。

さすがに俺達に微妙な状況までは、Aも優子に報告してないらしい。

政敏「俺は奥さんと、クラブの寮と自宅だったからサ、住んだのは結婚してからで…」

聞いてもいないのに自分達の事を話しだす。

政敏「デートはもっぱらラブホだったからサ～」

Jリーグ入ってすぐは金もなかったしなぁ～

政敏「時間も限られててサ～」

ボヤキなんだか、ノロケなんだか…

政敏「おめ～ら行った事ないだろ(笑)そもそもドイツにあんの？」

『しらねぇ～』

政敏「ほらね。ピュアボーイ君ｗｗｗ」

めっちゃ馬鹿にされてムカついてくる。

政敏「岳は昔から優等生だったからな～」

優等生のどこが悪い！っていうか、

お前に比べればって程度の優等生だと思うけど(笑)

政敏に一方的に攻められただけで、あっという間に飛行機は着いた。

ベルトコンベアの前で荷物を待っていると、案の定お客さんに声を掛けられる。

客「すみません～柴崎選手ですか？握手お願いします。」
客「すみません・・・写真大丈夫ですか？」

政敏「岳、引き替え券…」

政敏に引き替え券を渡すと、ファンサの間、奥さんが俺の荷物まで引き換えてくれた…

ささっと対応する奥さんを見て、ファンと写真に写りながら、

俺は初めて政敏を羨ましいと思った。