トレーニングを積んでいつかは戻るぞあの場所へ ページ28
パクとは紅白戦で同じ組だったから、削る事はできなかったけど、
キレっキレでゴールとアシストをきめて、気分は上々だった。
マネ<コーチも岳が好調だって言ってたよ>
帰りにクラブハウスで会ったマネージャーに呼び止められる。
≪俺、ゲストルームをトレーニング室にしたいんだけど、ベッド邪魔で…≫
マネ<それじゃぁ、ウレタンマット敷いてベッドも片づけるように手配しておくよ>
≪ありがとう≫
マネ<家族や友達が遊びに来たらどうするんだい?>
≪日本人には布団があるから、大丈夫。≫
代表チームで本田さんが良いって言ってた布団あったよな…
代表と言えば、3月生まれの誕生会っていうのに召集された。
俺が召集されたかったのって、違う方なんだけどね…
いつもの店にいつもの面々。
ただの飲み会に、バースディケーキが加わっただけだった。
蛍「今度の代表戦、いつの便取りました?」
この時期恒例の代表ウィーク。
真司「俺は、日曜日の試合終わってからやから、少し遅れるんよ。」
今回召集されていない俺になんてお構いなしに会話は進む。
真司「岳、残念やったな。日本行けば、Aちゃんにも会えるかもしれないのにな。」
肯定も否定もしずらい問いかけに俺は沈黙を保っていた。
真司「そう言えば、岳、Aちゃんの部屋を潰してトレーニング室作ったんだってな。」
蛍「何?ついにあきらめたのか?(代表戦で)日本にも行けないしな(笑)」
相変らず肯定も否定でも答えたくない質問を俺はシカトした。
真司「背番号“7”も最近じゃ他のヤツに定着してるしな…」
やっと、俺が答えられる会話。
俺は真司さんの目を真っ直ぐ見つめて言い放つ。
『俺、アンダー世代ではずっと、“10番”貰ってたんで・・・A代表でも、10番狙いっすよ。』
俺のこの発言に、真司さんは余裕そうにニヤッと笑った。
真司「そっか、その意気じゃ大丈夫だな(笑) “10番”奪えるもんなら奪ってみな。」
真司さんなりの俺への励まし。
仲間でもあり。ライバルでもある。
俺もニヤッと笑い『ウイッす(笑)』って答えた。
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作者名:モニカ | 作成日時:2016年2月6日 20時