裏・ハマナスは潮風に吹かれ咲く (ページ23)

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離れていてもページ23

後半戦がはじまり、Aとの距離にもだいぶあきらめがついた。

こうして、ひとつひとつの試合をクリアして行くと、

シーズンオフには日本に帰ってAに会える。

自分の中で、頑張れば頑張るほど、

Aに会った時の喜びが大きくなるって分っていた。

Aとのやりとりは、だいたい昼休憩中にラインするのが日課になっていた。

♪～ライン

「今度、評価面接があるんだ。緊張する。」

『何？それ。』

「仕事ぶりを評価されるっていうか…どんだけ仕事で会社に貢献してるか評価されるの。」

『会社勤めでも、そんなのあるんだ。俺達はいつでも結果っていうのを求められるからな(笑)』

「そうだよね。」

『ダメでも、Aの頑張り、ちゃんと見てくれてる人もいると思うよ。』

Aは誰かに褒められようとか、誰かがみているからって頑張るんじゃなくて、

人の見ていない所でも頑張るやつだ。

そんなAの事を近くで一緒に働いているやつなら、

きっと認めているはずだった。

「うん、ありがとう・・・でも、最初からダメ出しされるって設定？(笑)」

『あっ、わりイ(笑)』

「もう！」

アヒルが怒っているスタンプが送られてきた。

こんな感じで他愛無い事をやり取りしてるけど、

それでも、Aの仕事が遅出の時は、完全にすれ違っていて、

返事が来るのは練習中で、

それに俺が気がついたときは、日本は真夜中だったりする。

もちろん、それでお互い気分を害する事なんて無いけどね。

お互い“大人”だから(笑)

それに、あの夜、俺達は離れていても大丈夫ってくらい

心と体を通じ合わせたから・・・

だから、俺は離れていても全然安心していて、

Aの事を信じていた。

イヤ、信じていると思っていたけど、

ある日、いつもラインが来る時間と全然違う時間にラインが来て、

俺もたまたま、午後から練習の日で、

朝、ベッドの中でそのラインを受け取った。

「おはよ。おきてる?”」
『起きてる。仕事中じゃないの?』
「東京来てるの、人事の人と面接おわた」

そっか、今日は評価面接ってやつか。

『で!?』
「春から、東京で新しいプロジェクトのメンバーだって」

Aの頑張りを会社も認めてくれて、新プロジェクトのメンバーに抜擢された。

また、しばらく離れ離れは寂しいけど、

俺が惚れ込んだ女が、世間も認めてくれるっていうのは素直に嬉しかった。