政敏と ページ20
元旦の朝、スーツケースを持って家を出る。
母親「風邪ひかないでね。」
父親「怪我すんなよ。」
どっちも約束できないけれど、
『うん、ありがとね。』
って、感謝して家を出る。
車を頼んで、地元の中学…って言っても、ここからは1時間くらいあるんだけど、
政敏が待つ、俺達の出身中学へ向かった。
中学の駐車場で、俺の荷物を政敏んちの車に積み直して、
政敏「岳、今年もよろしくな。」
『あぁ。』
そっけない挨拶を交わす。
政敏「なんかあった?」
めずらしく敏感な政敏に、
『特に…あっ、紅白に俺の好きな歌手が出てなかった…』
政敏「俺も…って、岳、いつもガキツカ派じゃん(笑)」
『なんか、今年は親と紅白見てしまった…』
政敏「わかる…俺達も歳とったよな(笑)」
後輩たちにみつからないように校内で着替え、
校庭への通路で待機。
子供達はすでにアップを終え、ボール練習に入ろうとしていた。
ピーッと笛が吹かれ、子供達が集まる。
全国大会を目指す学校の取材って事でテレビカメラもスタンバイしていた。
コーチ「今日はおまいらにお年玉がある〜!」
このひと声で俺らが登場。
校庭には歓声が響き渡った。
中学生「おぁ〜柴崎岳だぁ〜」「柴崎じゃん!」「やべぇ〜柴崎だよ〜」「あっ、櫛引。」
3対1くらいで俺への歓声(笑)
そっから、軽くサッカー教室みたいのをして、ミニゲーム。
皆んなの顔を見ていると、
遠い日の自分を思い出す。
中学の頃は、Aへの想いをまだはっきり自覚してなくって、
走る陸上部の集団を見つけると、なんとなく姿を探すのは、
同じ町から来たって親近感かと思っていたっけ。
もちろんあの頃の俺に、声をかける勇気なんて無かった。
練習を終え、 最後はみんなで記念撮影をして、任務は終了。
正敏「じゃぁ、空港まで送って行くから。」
『サンキュ。政敏はいつ戻る?』
政敏「次は嫁の実家…キッザニアも予約してるし…」
『俺の未知の世界だな…(笑)』
政敏「家庭円満の秘訣は、いかに嫁に機嫌よくいて貰うかと言っても過言ではない!」
『まじかwww。』
政敏「岳もそのうち分るって…イヤ、お前はそのまま自分を貫け貫いてくれ(笑)男達の期待の星になってくれ(笑)」
『なんだ・・・それ(笑)』
兄貴も、政敏も情けね〜な
なんて、その時は思っていた。
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作者名:モニカ | 作成日時:2016年2月6日 20時