裏・ハマナスは潮風に吹かれ咲く (ページ11)

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柴崎家の笑顔の中にページ11

母親「Aさん、嫌いなものはあるかしら？」

『さぁ・・・？』

一緒に居て、Aが嫌いな食べ物って特に思いつかなかった。

兄「嫌いな物はないって言ってたよ～」

代わりに兄貴が答えた。

父親「うちの3人目の嫁さんか～」

兄「父さん気が早いって、まだ、プロポーズもしてないし(笑)」

また、兄貴が代わりに答える。

確かに、その通りだけど…

今まで、プロポーズらしき事を何気に言ったけど、

それが、ちゃんとAに伝わった事はなかった。

今度こそは…

兄貴「岳がまたフラれるかもしれないしなｗｗｗ。」

昨日、お灸を据えられた兄貴は一晩で回復していて、

昨日の分も倍返しか(笑)

『迎え、行って来るから…』

ウザい兄貴を振り切り、Aを迎えに行く。

ラインで“来たよ”ってメッセージを送り、

家の呼び鈴を押す。

すぐに、お母さんが出てきて挨拶をする。

母「よろしくお願いしますね(笑)」

そう優しい笑顔で言う。

きっと、いろいろ心配はあるんだろうけど、

俺達の事を信じて認めてくれた笑顔に、

俺はますます、Aの事を大切にしなきゃって思った。

それからすぐにAも部屋から出てきて、

白いニットにエンジ色のスカート？

いつもと違ったピンク色の唇…

『いつもより・・・』

可愛いって言いたかったけど、

『化粧濃い・・・』

「だって、少しはちゃんとしないと…」

緊張気味のAを車に乗せた。

「緊張する。」

『大丈夫だって。』

俺も何故か緊張して来た(笑)

だけど、

その緊張を溶かしてくれるのも兄貴で…

母親「ドイツ語も喋れるんですって？」
兄貴「岳よりペラペラだから。」

父親「高校では部活何を？」
兄貴「陸上…長距離、インハイで2番だってさ～」

父親「足、速いんだね～」
兄貴「小さい頃は、新体操とかやってたんだよね～」

ん？俺の知らない情報まで！

さすがに、イラっときて、

『なんで、兄貴が答えんだよ！』

兄貴「しゃ～せん(笑)」

皆も笑って…

俺達の緊張もすぐに和らいだ。

兄貴、サンキュ。口には出さないけど…

岳甥「岳ちゃん来てるって～」

玄関から甥っ子が走って来て俺に飛びついた。

長男夫婦も来て更に賑やかになる。

Aの笑顔がこの中にあるって、

すんげ～幸せって、俺は感じた。