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backepisode 0 ページ1
この世界では、都合のいい事に、そもそもわたし達は孤児ですらなかった。
母さんも父さんも生きていて、姉様も楽しそうに笑っていた。
わたしも。
父さんはわたしがピアノの演奏を終えると、どこか自慢げに微笑んでわたしの頭を撫でてくれた。
「すごいぞ、櫻子!櫻子は天才だ!」
「えー?父さんったら大袈裟だよぉ」
髪がぐしゃぐしゃになるのも気にならない。それぐらい、嬉しかった。
今日は姉様の誕生日。
わたしはハッピーバースデーの曲を弾いて、姉様へプレゼントした。
「ありがとう櫻子。とっても素敵なプレゼントだわ!」
笑顔で褒めてくれる姉様も、母さんも父さんもみんな、ずっとそばにいてくれるんだと思ってた。
都合のいい、夢を見ていた。
そんな夢が、長くは続かない事を知っている。
わたしはどこかから聞こえた銃声で、目を覚ました。
今のわたしは、死と生の境目で生きている。
戻る事なんてできない。
でも、今だけ。
今だけ夢を、見させてください。
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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 太宰治
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作者名:茉里 | 作成日時:2019年7月13日 12時