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起きた時、腹がとても減っていた。
体が生きたがるとはよく言ったものだがまさにそれだと思う。
ぐうぅ、と音がするのを無視してこのコテージのリビングに向かう。
リビングはダイニングキッチンと一緒になっており、リビングで物を食べる。
「…ナタリー…お腹すいた」
「あぁ、今作ってるところさ。
なるべく臭いの強くない物をね」
「…味気ない?」
「そんなわけないよ。美味しいと思うよ?」
そう言ってトンと机に置かれたのはクラムチャウダーと野菜スティック。
まだあまり臭いで吐いたりはしないが後々そうなるのかな、なんて考える。
「…芽キャベツ、ニンジン、アスパラガス、ベビーコーン…これナタリーの趣味?」
「いや?芽キャベツとアスパラガスは妊娠中摂るといいと言われている葉酸が入っているんだ。
ここじゃあ珍しいけど生で食べないと熱に弱いからすぐ壊れちゃうらしいよ」
まあよく知らないけど、と一言言ったので少し心配だが、連日食べたナタリーの料理はすごく美味しかったので問題はないだろうと思う。
バケットも彼女は持って来て、食べたいならすくって食べなよ、と言った。
「んんっ!!美味しい!」
瑞々しい野菜は口の中でジュースを作っているようで、クラムチャウダーの丁度いい塩加減がもう何とも言えない。
バケットを少しむしってクラムチャウダーをすくって口に運ぶ。
バリッ、ミチミチッ
いい音がしてバケットが手の中と口の中に、2つに分かれた。
ほのかに温かいバケットは手作りなのだろうか。
「これ、手作り?」
「うん、ライ麦を使ったんだ」
へえ、と彼女には感心させられるばかりだ。
今すぐにでも料理を習いたいと言うと彼女は少し困ったよな顔をして言った。
「ごめんね、今度ね」
いつもこういい誤魔化す彼女。
もしや何か隠し味でも入れているのだろうかと考えたが、何も入れてないよ、と言った。
むう、と頰を膨らますも、ダーメ、と言われるだけだった。
「なぁ、ナタリー」
「何?」
「何で、ナタリーは私をここへ迎え入れてくれたんだ?」
「ん?だって、お金持ちなんでしょー?!!」
「へ?」
「貴子が言ってたんだよ!君はとてもお金持ちだって!だから…」
「ストップ、ナタリー!裏事情出てるから!」
「Oh…ごめんなさい」
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作者名:硫酸Ryu☆ | 作成日時:2018年4月11日 18時