同じクラスなだけ (ページ29)

今日:20 hit、昨日:6 hit、合計:158,053 hit

29 ページ29

「渡辺くん………」

渡辺「……………大丈夫？」

「うん、大したことないよ。大丈夫。」

渡辺「…そう、あ。先生、和泉さんと二人にしてほしいんだけど…」

渡辺くんがそう言うと

先生「わかったわ…先生すこし用足してくるわね」

なんて言って先生は保健室から出る

渡辺「怪我させて…ごめん、」

「うん…、へーき。」

「クラスの人から何か言われたんだよね…?」

つづけて私がそう言うと

渡辺「え…？なんでそれ、」

「さっき深澤くんが教えてくれた。ごめんね、私がここ最近一緒にいるからだよね」

渡辺「………。」

渡辺くんは何も言わず私の方を見たまま

「席替えでさ、隣になっただけで私のこと嫌いなのにたくさん色々してくれてさ。なんだかんだ仲良くしてくれて……。ありがとう。」

渡辺「おい、和泉」

「最初に戻ってもいいよ…？あの私と渡辺くん、深澤くんがただのクラスメートな時に。……私は大丈夫だから。」

渡辺「…………なんで…？」

「そのほうが渡辺くんや深澤くんはいいと思うからだよ…。……保健室から出たら友達じゃなかった時のクラスメート、」

そう私が言う。

渡辺くんは、少し困ったように顔をしたけど

渡辺「和泉さんが………そう言うならそーするわ。」

前に戻りたかったわけじゃない。

でも渡辺くんや深澤くんは人気者でいなきゃいけないから。

底辺の私と仲良くなんかなっちゃ最初からいけない。

渡辺「……あ、…前にたくさんひどいこと言ってごめん。でも、一つ言えるのは和泉さんって全然仲良くできる人だったってこと。……じゃぁ、」

渡辺くんが保健室からそっと出ていく

もう話したりはできない。

なんだろう、自分で決めたのに涙がこみ上げてくる

これからの日常はもとに戻るだけ……

涙をさっとふいて私も教室に戻る。