同じクラスなだけ (ページ13)

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教室の扉の前にいるんだけど。

なぜか一歩が踏み出せない。

昔はこんなことでくよくよしたりしなかったのにな、なんて思ってしまう。

ドアに手をかけようとすると

深澤「ごめん、どいてもらっていい。」

なんて、さっきの声のトーンとは比べられないぐらいの低さの深澤くん。

「あぁ…ごめんなさい…。」

深澤くんは、私の横をずーっと通ってクラスに入ってく。

気にしちゃダメだ、なんて心に言い聞かせて教室に入って席に座る。

私が席に座るとさっきまで座ってた隣の席の渡辺くんが勢いよく立って深澤くんのそばに行ってしまう。
　

うん、最初に戻っただけ、

最初に戻るだけ…、

あれ涙出そう。

渡辺「…………………」

先生が「授業再開するぞー」なんて叫んでいる。

でもこのままここにいたら涙が溢れてしまう気がする。

　

「先生…具合悪いので保健室いきます、」

先生「和泉、大丈夫か？誰か付いてったほうが…、」

「いいです。一人でいけます、」

なんていう。

私には嘘をついて逃げることが多分似合ってる。

クラスメート、そして渡辺くんたちの視線を感じながら教室を出る。

ぽつんと廊下に一人。

後ろを振り返るけれどさっきみたいな光景はない。

教室の中ではクラスメートの楽しそうな話し声がする。

あぁ…ほんとの一人じゃん、なんて。