同じクラスなだけ

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「隣同士で教科書みせあってね。」

　

国語の先生のその一言でほんとに逃げ出したくなる。





「渡辺くん、」


渡辺「…………。」


「渡辺くん！」


渡辺「……………、」


「渡辺さん、」



渡辺「…何、」




「あ…その…、隣同士で教科書見せ合うんだって…、」



渡辺「俺、いらない。」




「先生に怒られちゃうよ、」



渡辺「友達から見せてもらうからいい。」



そう言って廊下側の渡辺くんの友達の深澤くんのところに移動してしまう。



あー、最初から私嫌われてんじゃん。



なんて、教科書の文字を見つつも考えてしまって頭に入ってこない。






ぼーっと教科書を眺めてると。




深澤「和泉さん…だっけ、授業終わってるよ、？」




「え…？」



気づかなかった…。


深澤「次、移動教室だからね。」




「ありがとう、教えてくれて。」



深澤「いーえ、」





そう言って深澤くんは行ってしまう。



このクラスになって初めてぐらいに話した気がする…、なんて。


ノートと教科書を持って移動しようとすると。


渡辺「なぁなぁ、席変わってくんね？」



男子「えー、今の席がいいからなぁ。」




渡辺「隣のやつがあんな子じゃ楽しいスクールライフ送れねぇよ。」




渡辺くんのその一言がなんだか心に突き刺さる。



その立ち止まってる場所から一歩が踏み出せない。



どうしようか、どうする…？



頭の中がぐるぐると回ってる

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