近くて遠いキミ【佐野万次郎】

18⌇場地くん訪問 ページ20

「…で？なんでオマエがここにいんだよ？」

『だってマイキーに集会くんなって言われちゃったんだもん。千冬にも会いたいし、圭ちゃん登校日って聞いたから遊びきちゃった！』

遊びきちゃった！じゃねぇよ。
周りの奴ら、さっきからジロジロAのこと見やがって…
「あれが噂の…」とか「まじかわいー…」とか全部丸聞こえなんだよ…！

『マイキーひどくない？！今まで一緒にいたのに、いきなりつるむなとかさぁ…』

「…A。とりあえず一旦屋上行くぞ」

『え？圭ちゃん授業受けないの？』

「テメェがいたらどっちにしても受けられねーだろーが！」

『千冬の教室遊び行きたい』

「屋上に集合っつったから、すぐ飛んでくんだろ」

屋上に着くと千冬はすでに着いていた

「おーっす」

『ちーふーゆーっ！』

「だァ！暑いッス！！」

『ほんと今日暑いよねー…3人でかき氷でも食べ行かない？』

「…授業始まったらな」

『ん？終わったらじゃなくて？』

「人がいなくなってからのが動きやすいだろ」

これ以上校内うろつかれたんじゃ、こっちがタマラねぇ。

『なるほど。でさぁ、マイキーがね！』

Aはマイキーから距離を置くように言われたことに納得いかないらしい。
一通りマイキーへの愚痴を言い終わったAに、オレは口を開いた

「まぁしょうがねーだろ。実際ドラケンは刺されたし、パーちんも刺しちまった…。もう単なるガキのケンカで片付けるには済まされないとこまできてんだ」

『でも…圭ちゃんも千冬もマイキーもケンちゃんもタカちゃんもいるんだよ？みんながいれば無敵でしょ？』

「オレらだって24時間オマエのこと守れるわけじゃないし…それに……いつまでも一緒にいられるとは限らねーだろ」

『…圭ちゃんどっか行っちゃうの？』

「んなの、わかんねーだろ。…明日事故で死ぬかもしれねぇし」

『…やだ…！』

涙目になるAをみて、焦った様子の千冬が「場地さん言い過ぎっすよ！」とオレを見る

「はは、わりい。例え話だよ。心配すんな」とAの頭に手を置くと、安心したようにふにゃりと笑うもんだから、そのまま髪の毛をわしゃわしゃする

『ちょっと圭ちゃん、それやめて！』

「とりあえずさ、マイキーはオマエのこと嫌いになったわけじゃねェ。オレたちがオマエのこと大事に想ってるってことだけは忘れんなよ」

『わかった…』

「うっし。そんじゃAの機嫌も治ったことだし、かき氷でも食い行くか！」

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