近くて遠いキミ【佐野万次郎】

17⌇距離を置こう ページ19

あれ、マイキーくんは…？Aちゃんもいない…

「おっかしいな、どこ行ったんだ…？」

病院の外を、キョロキョロしながら探しているとマイキーくんとマイキーくんに肩を抱かれた Aちゃんの姿を見つけた

「あっ、Aち…！」名前を呼ぼうとしたが、2人が頭を寄せ合って泣いていることに気づき、反射的に建物の影に隠れる

「よかった…ケンチン…」

『ほんとによかった…怖かったぁ…』

「心配かけさせやがって…」

『元気になったら、どら焼き、奢ってもらおうね』

「ふっ、そうだな。ていうかオマエ泣きすぎ。鼻水つく」

『マイキーだって泣いてるくせに！」

「…A…」

『なに？』

「危ない目に合わせてごめん」

『え？』

「今日…オレらのせいで巻き込んじまった。オマエのことは絶対巻き込みたくなかったのに…」

『…私は大丈夫だよ？』

「オレが大丈夫じゃねぇんだ。…今回はコレだけで済んだかもしれねぇけど、次はもっとひどいことされるかもしれねぇ」

『…』

「A…オマエもう集会くんな」

『え…？』

「嫌なんだよ、オマエのこと巻き込むの。…オレらと距離おけ」

『マイキーは…私がそばにいなくてもいいの…？』

「…そばにいない方がいい」

『…』

「わかったな」

『わかんない』

「…とりあえず今日は帰るぞ。早く帰って着替えろ。雨に濡れたし風邪ひく」

『…』

とぼとぼとマイキーくんの後をついていくAちゃん。
まだ残っている東卍のメンバーたちのところへ行くと「三ツ谷、コイツのこと送ってってやって」と言い残し、1人でバイクに跨り帰ってしまった。

ドラケンくんを助けたのはいいけど、Aちゃんとマイキーくんがすれ違ってしまった…

「んだよ、せっかくドラケンが助かったっていうのに…オマエらは夫婦喧嘩か？」

『…別にケンカじゃないし』

「ったく、めんどくせーなぁ」

『…じゃあ圭ちゃんに送ってもらう』

「もう千冬乗せて帰ったよ。ほら早く乗れ」

『…ん』

「オマエらに振り回されるのは慣れっこだよ」

『うん…ごめんね…ありがと、タカちゃん』

「オイ、オレの背中で鼻水ふくなよ」


三ツ谷くんの背中に顔を埋めて、おそらく泣いているAちゃん

でも、マイキーくんの気持ちもわかる…。大切だからこそ、Aちゃんのこと危険な目に合わせたくない。そのためには自分達から遠ざけるしかない。
オレもマイキーくんと同じ立場だったらヒナに同じことするかもしれない…

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