ヒモのしょーちゃん２

ChooChooしょーちゃん ページ47

S「…でねぇ、ラジオ体操第三はもっとアグレッシブなの。ジャンプはこう！！」

M「翔、危ないからちょっと離れて。あ、これ食べてな。もうすぐ終わるから」



謎のラジオ体操第三について熱弁中の翔さんには悪いけど、アイロンがけの途中で横で踊られるのはヒヤヒヤする。

一度アイロンをおいて、冷凍庫からチューブのアイスを渡す。この間つい懐かしくて買っちゃったんだよね。身体にわるそ〜なサイダー色。



S「ぶぅ…」



しばらくは窓枠に腰掛けて、足だけベランダに出して黙ってアイスをチューチューしている。

風の通るベランダは夏の我が家の特等席だ。

さて。

残りのYシャツにアイロンを再び当てる。



…



S「それでねぇ、レーダーを付けてた人食いザメが急に消えちゃったの！なんでだと思う？」

また顔だけこっちに向けておしゃべりを始める

M「う〜ん…」

人を食うくらいだからかなり大きいサメだよな。それを食うって…大王イカ？あ、鯨？でもアイツはプランクトンが餌だよな。

ついついアイロンを止めて考えこんでいると



ペタペタペタ…



M「ちょっと待った！ナニお代わりしてんの」



空のチューブをくわえたまま、冷凍庫に向かってリビングを横切る物体発見。



S「正解はねぇ〜もっとおっきい人食いザメに食べられちゃったんだよ！すごくない？」

M「すごくない？じゃなくてお代わりダメ。」


S「え？ダメ？」

そんな可愛く上目遣いしても

M「ダメ。」

S「え〜じゃあ半分！」

M「ダメ。」

S「うーっ…４分の３！」

M「増えてるじゃん(笑)」

S「うーっ…半分が２分の１でぇ、アッ８分の５！どう？」



真剣な眼差しでアイスを握りしめる。



ぷっ。



M「じゃあ８分の５ね。」



それも半分より多いのだけれど、このままじゃアイスが溶けちゃうから。

ポキンと割って二人並んでベランダに。

向かいの大家さん家のゴーヤを揺らす風がふうわりと昇って髪を撫でる。



S「おいしーねッ」



ニッコリ笑う翔の輪郭を見て、やっぱりコイツの晩飯のご飯は２分の１かなと思うが



またそん時はどんだけ大騒ぎするのかと想像すると頬が緩んでしまうのが止められない。


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