ヒモのしょーちゃん２

しょーちゃんのお夜食 ページ14

M「ただいま…」

小さくつぶやくようにドアを開ける。

…またこんな所で

ソファの上で俺のブランケットにくるまった翔が猫みたいに丸くなって寝息をたてている。



ここのところ、年度末に加えて税率の変更で作業が増えて残業続き。

布団で寝るように言ってるのに、いつも翔はこうして待っている。


M「お風呂入ってくんね…」

聞こえないだろうが、耳元で囁いて髪にキスを落とすとバスルームへ。

ざっとシャワーで済ませて、さて子猫ちゃんをベッドに運ばなきゃ…とリビングへ戻ると


S「潤、おかえり。今日もお仕事お疲れさま！」

キッチンにさっきまで寝ていたはずの翔が立っていた。


M「あ、ごめん。起こした？ちゃんとベッドで寝な？」

S「まあまあそんな事はいいから。お茶どうぞ」


ソファにぐいぐい引っ張られて、目の前にコトンと白湯が置かれる。

S「ちょっと待ってね〜」

冷蔵庫から小さな瓶を片手に戻ってきて、おもむろに中身を白湯に落とす。

M「桜湯か…」

カップに落ちた花弁がふわっと広がり、穏やかな香りが鼻をくすぐる。


S「フウフウする？」

くりくりのおめめが聞いてくるから、たまには素直に

M「お願いします。」

少し塩気のあるそれが不思議と甘みも感じて

たしか姉ちゃんの結納で飲んだ時以来だけど、こんな美味しかったっけ…？

張りつめていた気持ちがほどけていく。

M「美味し。」

S「でしょ？半分は翔の優しさで出来てるから」

お前はバファリンか(笑)


隣りでニコニコ見てる翔を抱き寄せて

M「ありがと」と言うと

S「どういたしまして」と笑うから

もう一度

M「ありがと」とキスをすると

S「どういたしまして」とキスが返ってくる。


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