ヒモのしょーちゃん２

しょーちゃんの生け花指南 ページ1

M「〜♪」

帰宅ラッシュにもまれながら、冷蔵庫の中身をあれこれ考える。

ささやかな俺の趣味。

今朝、醤油をもみ込んできた牛肉で菜の花を巻いて焼いて…

翔はたくさんご飯食べるかな？ちょっと多めにご飯炊こうかな？

あ、でも俺は酒のむからやっぱりいつも通りにしとこ。

ビールか…こないだ親父にもらった焼酎もイイな。久しぶりにバカラのグラス出しちゃおうかな〜


チッ！誰もお前のケツなんか触んねえよ。
両手上げて乗るの結構キツいんだぞ！


前のOLを睨みつけて、家に帰ったらご褒美に翔にケツ触らしてもらおうなんて思いつつ、やっと駅に降り立つ。


M「ただいま〜」

S「お帰り、潤！今日もお疲れさま！」

キュッと抱きついてくる翔にキスをもらって、さっそく牛肉を取り出す。

えーっと菜の花は…あれ？

M「翔〜！ここにあった菜の花知らない？」

後ろから抱きついたままクリクリと俺の背中に鼻をこすりつけてた翔がパッと離れると

S「そうそう！潤？翔ね、前から言おうと思ってたんだけど。」

腰に手をあてて上目遣いでにらんでくる。

S「お花は買ったらすぐに水揚げしないとダメだよ？翔が気がついたからやってあげたけど」

ドヤ顔で指差したリビングのミニテーブルに

菜の花と梅が飾られて。

俺のバカラのグラスに(泣)

S「見よう見まね？翔、お花はあんまりやった事ないけどなかなか上手に出来たでしょ？」

M「…あ、うん。この梅は？」

S「大家さんにもらったの。イイ匂いでしょ？」

俺のバカラのグラスが(泣)

S「潤…どうかした？」

うん。だいぶ予定が狂ったから…

M「ん？どうもしないよ？もうすぐご飯だからね〜フライパンするからテレビ見てて？」

S「…イイコイイコは？」

あ、イイコじゃないような。ちょっと複雑。

でも。

M「うん。イイコイイコ。」

さらさらの髪を撫でてやると嬉しそうに笑う。

S「今日ご飯なに〜？」

M「お醤油味の牛肉だよ？」

S「わーい！ご飯おかわりしてもイイ？あ、でもプヨッちゃうから…」

M「いっぱい食べな？お野菜もね？」

菜の花は諦めて、冷蔵庫のもやしと青ネギをたっぷりコチュジャン炒めに変更。

二人だから、かみ違えることもあるけど
二人だから、笑える。

M「ねぇ、潤もイイコイイコして？」

S「うん！」

たった五秒で疲れが吹き飛んでしまうんだ。


.

しょーちゃんの消費税対策→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す