45、権利 ページ8
「おい、行くぞ、A」
「あ、うん…悪いね、人使」
試験後、校門の前で、ただぼんやりと人使を待ちながら、あの少年のことを考えていた。
彼の言っていたことが本当なら、ポイントは0。
彼は合格出来ない。
それでいいの？
どうしてあの場で唯一動けた人が、ヒーローに向いている人が、不合格になるの？
そんなのおかしい。
それを容認したら、私は私が目指すものになれるの？
「どうした？行かないのか？試験結果に自信がないって風でもねえのに」
「いや、…あのさ、人使だったら、」
駄目だ。これは誰かに尋ねるべきではない。
「…ごめん。なんでもない」
そう言うと、人使は私をちらりと見てから、溜息混じりに口を開いた。
「お前な、それでそこそこ長い付き合いの俺を誤魔化せると思ってたなら、医者になる云々の前に、自分が脳外科行け」
一瞬言葉に詰まってしまった。
口は悪い。
なのに、心の底から心配してくれているのが判る目をしていたから。
それが、私に向けられるには、あまりに眩しく感じられたから。
「あはは…相、変わらず辛辣だね。
そんで、相変わらず、物凄いお人好しだ」
だから、自分の醜さが浮き彫りにされるような感覚を覚える。
なのに…不快感はない。
そこも含めて、私が人使と話しているのは楽しいと、面白いと感じているのもある。
それに何より…心配されたりするのは、なんだか面映ゆいけど、悪い気はしないし。
暖かくて、宝物を手にしたような気分になる。
でも、こんな暖かい気持ちなのに、それ以上に胸が針で刺されたように痛い。
……だから、決めた。
「ちょっと用事が出来た。
すぐ戻ると思うし、出来れば待ってて欲しいけど、もし待ちたくないなら、先帰ってて良いよ！」
話してて、思ったから。
このおかしさを容認する私では、ヒーローになる権利はおろか、友人と肩を並べて歩く権利も、暖かさを享受する権利もない、と。
このお人好しの友人と、これからも隣で笑って歩く権利が欲しいなら、それなりの行動はしなくては。
「は？なんだよ用事って!?
帰れって、終わったら猫カフェ付き合うよ、とか昨日言ってたのはどこの誰だよ！
あー、本当に行きやがった…
仕方ねぇから待つか。どんだけ俺に手間掛けさせれば気が済むんだ彼奴は…」
心底呆れているような、けれどもどこか暖かさを含んだ声音で呟き、心操人使は寒空の中、友人を待つ選択をした。
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モナミ(プロフ) - 星を見守る砂岩さん» またコメントして頂けるなんて！ありがとうございます！私のイメージの中の心操君なので、少し不安だったのですが、カッコいいと言って頂けて嬉しいです！ (2018年7月31日 12時) (
レス) id: 9deaa88755 (このIDを非表示/違反報告)
星を見守る砂岩(プロフ) - 心操くん、かっこよすぎでした。お友達になりたい。更新頑張ってください！ (2018年7月30日 17時) (レス) id: fbc86b6b3a (このIDを非表示/違反報告)
モナミ(プロフ) - 晴夏 and Siki and Leonさん» ありがとうございます！ここから頑張りますので、これからもよろしくお願いします！ (2018年7月30日 8時) (レス) id: 9deaa88755 (このIDを非表示/違反報告)
晴夏 and Siki and Leon(プロフ) - ハハ、早く続き見たいです。 (2018年7月22日 21時) (レス) id: aeb99a7d73 (このIDを非表示/違反報告)
モナミ(プロフ) - 星を見守る砂岩さん» 凄く嬉しいです！ありがとうございます！期待に添えるようにもっと頑張ります！ (2018年7月8日 21時) (レス) id: 9deaa88755 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：モナミ | 作成日時：2017年10月22日 7時
