今は昔、音駒の悪女といふものありけり。

第八話 ページ10

_数分後_

侑「白鳥沢来たんやて。A」

『あ、ほんと？迎えに行ってくる。侑。』

侑「分かった。ほな、俺部屋戻っとくで！」

『はーい！コーラありがとうね(*＾▽＾*)』


奢ってもらったコーラを飲み干す。

ゴミ箱に捨てた缶は、カランカランと音を立てた。




外に出ると、烏野の子がいた。確か、影山くんだったっけな？


『どうしたの？』

近寄ってみると、彼は教科書とノートを膝の上で広げていた。

影「あぁ、どうも。」


...その素っ気ない挨拶も素敵ですわよ。無自覚イケメン君よ。


問題を見てみると、古文の問題だった。


「伊勢物語」か。題名は書いてないけど、覚えてるからな。


頭を抱える影山くん。教えてあげたいけど、いいかな？


『...良かったら、教えようか？』


「...！いいんですか？！」


うん。君、イケメンってこと知ってる？その顔は女子がキャーキャー言う奴や。目キラキラさすな。


『いいよ(笑)逆にこのぐらいしか取り柄がないからね』


「あざっす！(ニカッ)」


oh。シンゾーガ、モチマセーン...


_10分後_
影「で、これが連体詞なので...」


『うん！！それでいいよ！』


いやぁー。流石天才。覚えんのも早いな。
さっきまで古文すら読めてなかったのに...
もう、発展問題解けてるし。



影「出来ました！」



『おぉー！！おめでとう♪』


私も一緒になって喜ぶ。


影「ホントに、有難うございました！」


『いやいや、私はただちょっと口出ししただけであって、問題を解いたのは影山くんだよ。
お疲れ様。』


影「谷地さんが、薬研先輩に教えてもらったら分かりやすいって言ってたんですけど、ホントに分かりやすかったです！
これで、あのバカ日向に課題終わらしたこと自慢できる！
有難うございました！」


『バレー頑張ってね(*´∇｀*)』


影「はい！」



影山くんは走って中に戻っていった。






あ、白鳥沢の人もう中に入っちゃったか...


なんだかいい気分だな。


有難うって言われるの。









そんな思いも束の間。


人生で出会った一番嫌いな奴と遭遇するまで。






____________________あと、30分。

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