お兄ちゃん。《Ryohei.A》 (ページ7)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:21,932 hit

7_ ページ7

.

「阿部ちゃん？あーべーちゃん！」

耳の横で、聞き慣れた声がする

『え、うわ俺ぼーっとしてた？』

「そうだよーさっきからずーっと」

佐久間が横からぬっと俺の顔をのぞき込んでくる

気付いたらもう昼休み。確かにお腹がすいてる気がする

「珍しいな、お前が上の空なんて。」

ふっかが前の席から振り返る

別に俺だって考え事くらいするのにさ

「また妹のことだろ？」

でもふっかには俺の考えてることはお見通し

「そうだよ…年頃の妹を持つとね、いろいろと悩みも多いのよ！」

「そういうもんかー？」

3人で話してる時間、これが一番気楽で楽しい

「あ、そういや」

また俺が話し出そうとしたとき

「あの…」

後ろで小さく声がした

あれ、俺に声かけてんのかな。

ん？と声の方に振り向くと、そこには何人かの女子

あ、この子確かうちのクラスの………だめだ。名前思い出せない

「も、もしよかったらさ…」

必死に俺に何かを告げようとしている

周りの子はがんばれ！なんて声をかけてたり

なんだろう、そんなにいいづらいことなのか？

「もしよかったらなんですけどっ、一緒に…お昼食べませんか！」

おーそういうことか

「お、阿部ちゃん誘われてんじゃん。行ってきなよ！」

そういってニヤニヤしている佐久間

『え、えーっと』

困ったな…俺、Aに弁当届けないといけないのに。でも断るのも失礼かな

「弁当」

「え？」

「Aちゃんに届けるんでしょ、その弁当。俺持ってっておくからさ」

な？とAの弁当を奪い取るふっか

『じゃあ……頼んじゃおうかな』

その女子の顔がパッと明るくなる

「えっ！いいの！？」

『うん、いいよ。屋上でも行こうか』

名前も覚えてない子と一緒にご飯食べるっていうのもなんか変な気がしたけど

その子が嬉しいならいいやって思うし

「いってらっしゃーい！」

後ろからあいつってモテるよなー、なんて2人が言ってるのが聞こえる

いや、2人とも俺よりモテるだろ…！