お兄ちゃん。《Ryohei.A》 (ページ5)

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今から約2年前

そのとき俺は中3で

ちょうど受験勉強を頑張り始めた頃だった

俺達の両親は２人とも同じ会社に勤めていてとても仲が良く、家族円満で幸せな毎日を過ごしていた

そんななか

その日は突然やってきた

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その日、夕飯を食べ終わった後、両親は俺とAを大事な話があると言って呼んだ

なんの要件なのか、俺もAもさっぱり分からなくて

そのあと俺達家族がどうなるのか、まだまったく知るよしもなく

２人してなんだろうね、なんて言っていた

「亮平、A」

「どうしたのパパ。そんな真剣な顔して」

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「俺と母さんは明日、この家を出ていく」

『…は』

突然なんの冗談を言いだしたのかと思って

『やめてよ、変な冗…「違うの」

母さんにさえぎられた俺の声

見ると母さんの目には涙がたまっていた

父さんから、今いる東京の会社を辞め、２人で福岡で働くと言うことを聞かされた

なんでだと問いつめれば、お金がなくなったんだ、とぽつりと言った

福岡の仕事とやらは今よりもかなり多い給料をもらえるらしい

『おかしいだろ！金のために俺ら家族をバラバラにしていいと思ってんのかよ！』

理解が追いつかなくて、ただただ怒りの声を上げた俺

横にいたAはもう魂が抜けたような顔をしてぽろぽろと涙を流していた

「亮平、ちょっとこい」

父さんにぐいっと隣の部屋に連れ込まれた俺は、さらに衝撃的なことを聞かされる

「亮平。これから言うことは絶対Aには言うな」

もう感情がいっぱいいっぱいになっている俺に父さんは言った

俺は母さんの本当の子供ではないと。