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〜HR後〜
「まーた遅刻しそうになってんじゃん」
ケラケラと笑いながらゆきのが私の席にもたれる
ゆきのとは小１からの友達で、知り合ってから今年で10年目という、運がいいのか腐れ縁なのかわからないほどの付き合いの長さだ
その飾らない性格と、他人思いな心でAには数えきれないほどの友達がいるけど、二人で一番の友達はお互いだといつも言い合っている
『ゆきの〜。笑い事じゃないんだってば…』
「お兄ちゃんに頼りっぱなしだからそうなるんでしょ？」
そう、いつもだったら亮平が起こしてくれていた
だからタイマーなんかには縁が無く、起きたら朝ご飯も既に用意されてる状態
今日はほんとにあせったんだからね？亮平
自力で起きない私も悪いんだけど…
「それよりさ、うちの高校の三大イケメンって言われてる先輩、知ってる？」
『え、知らない！』
突然顔をキラキラさせて話を振ってきたゆきのの勢いに押される
「よし、この私が教えてあげようじゃないか！」
ゆきのはほんとこういう話に詳しい
そしてこういう話をしている時が一番楽しそうだ
「まずは〜誰に対してもフレンドリーで明るくて、笑顔が最強に素敵な、2年B組佐久間先輩！」
『え、その人、うちの兄ちゃんの幼なじみだ』
「しっかり者だけど面白くって、その大人っぽさで女子を虜にし続けている、同じく2年B組深澤先輩！」
『いやその人もうちの兄ちゃんの親友』
「最後は〜、学年１の頭脳の持ち主で、しかもとびきりの優しさを兼ね備えている…」
ここまできたら名前聞かなくても分かる
「君のお兄ちゃんである阿部先輩です！」
でしょうね！
そう、正直うちの兄ちゃんはかっこいい。そして凄くモテる。
今まで何度バレンタインデーに亮平へのチョコのかけ橋となったことか
「Aはいいよね〜。あんなイケメンで優しくて頭も良いお兄ちゃんがいてさ」
『まぁね〜。亮平は私の自慢の兄ちゃんだもん！』
「でもさ、Aって阿部先輩に全然似てないよね」
『あーそれよく言われるー』
自分でもあまりの似てなさを不思議に思うほどだ
『ま、兄妹だし目立たないとこ似てるんだよ多分』
「そこは自信ないんかい笑」
私達は顔も性格も、全然似ていない
でも私達が最高な兄妹なことに、変わりはないもんね
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作者名：ばにらもなか | 作成日時：2021年9月25日 9時
