お兄ちゃん。《Ryohei.A》 (ページ14)

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後ろから聞き慣れた声

振り向くと、ジャージ姿の目黒がそこにいた

『えっ、目黒…？なんでここに？』

「それはこっちのセリフ。おまえんち、ここの近くじゃないだろ。なんでこんなとこに1人でいんだよ」

『…ちょっと散歩に、ね』

まさかこんなところで目黒に会うなんて

暗くて泣き顔が見られてないことが救いだな

「そっか。散歩か」

何気なく私の横に座る目黒

少しそのぬくもりに安心している自分がいる

「なんかあったのかよ」

『…別に、なんもない』

こういうところで可愛くないのが私

でもお兄ちゃんに彼女が出来たショックで家飛び出してきた、なんて言えないよ

しかも…あの目黒に

「俺で良かったら、話聞くけど」

なんでこういうときだけ優しいの？

ほんとに意味分かんないよ、目黒

「とりあえず歩くか。どうせ俺ら帰る方向一緒なんだし」

『…わかった』

よし、と立ち上がった目黒の背中を見つめる

「ほら、いくぞA」

手の中でスマホが震える

多分亮平からだろう

でも今は

ちょっとだけ目黒と一緒にいたいかも、なんて

鳴り止まない着信音を無視して

目黒の後ろをついて歩きだした