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夜7時
一向に2人が帰ってくる気配がしない
…
……
まさか誰かが2人のことを…壊したり…
誰かが拾って持ち帰ってたり…
いや、なんて事考えてるんだろ…
あの2人なんだからそんな事…
ただ、会社から家まで徒歩だとだいぶかかるし…
しかも2人は人形…人間の倍以上かかるし…
…
……全部私のせいだろうな
プルルルル…
鞄の中から聞こえる着信音
スマホの画面には、藤井君の名前が書かれていた
「…もしもし?」
青「先輩ですか?」
「そう…だけど…」
青「実は今琴音さんと飲みに行ってた帰りなんですけどね?」
ああ、今聞きたくない名前ベスト1が出てきた…
青「道端に人形が2体落ちとって…
しかも、片方が前会社で見たのと同じなんですよ
あの、唇がふっくらしとって、黄色い服着てて…」
「…ジュンタっ…!?
あとっ、黒髪のっ、笑顔がっ…その、可愛くて赤の服着てるのはっ…!?」
青「はい、しっかり手繋いで一緒にいますよ」
よかった…ダイキも…ジュンタも…
青「多分、先輩の大切な物なんやないかなって思って電話したんですよ
ただ、2体ともボロボロになってもうてて…」
「お願いっ、私に届けてくれないかなっ…」
青「そう言うと思って最寄駅まで来てます」
「ほんとっ…?今すぐ行くから!!」
私は通話を切ると、スマホと鍵だけを持ち、急いで駅へと向かった
サンダルで走ると足が痛むがそんな事、今は気にしない
だって、ダイキとジュンタが待ってるんだから
あまり走る事のないせいか、体力もなく、徐々に体が動かなくなる
それでも、私は足を動かした
すると見えてくる駅に1人の影が
青「あ、先輩!」
藤井君が抱き抱えているのは、ボロボロになったダイキとジュンタの姿だった
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作者名:火華 | 作成日時:2024年1月6日 16時