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何度か藤井君とランチに行けた数日後
青「おはようございます。先輩」
「おはよ、藤井君」
いつも通り藤井君と挨拶を交わし、自分のデスクの上に鞄を置く
座るや否や、鞄がモゾモゾと動くと中から
黄「ふーん、あいつが藤井って奴か…」
ジュンタが顔を出していた
「ちょっ…もう少し中にいて…」
黄「ええやろ、喋ってなければ人形が鞄から顔出しとってもおかしないやろ」
「いやそうだけどさ…」
家を出る際、ダイキも行きたいと駄々を捏ねていたが、どうも何かが起きそうな予感がした
悪戯好きのダイキを会社に持ってきたら何が起こるか…
という恐怖心により、一旦ジュンタだけを鞄に入れて今日は出社してみた
……と言っても、家の中ではダイキが何をしでかしているかは分からないが
『はぁ、また合コンダメだったんだけど…』
『私も…全滅…』
『やっぱり藤井君じゃないと…』
『でもなんで佐々木さんと藤井君があんなに引っ付いてるわけ?』
『本当よ…あんな出来損ないの佐々木さんなんか藤井君には勿体無いわよ!』
『ちょっと声大きすぎ…』
少し遠くの方から聞こえてくる女性社員達の声
黄「…顔に出とるで。辛いって」
「…言わないでよ」
黄「…今日は俺もおるから。いつも通り過ごしてみ」
「…うん」
鞄に手入れろとジュンタに言われ、言われた通りに入れてみると
小さな手で優しく、私の手を撫でてくれるジュンタ
黄「…頑張れよ、A」
「ありがと…ジュンタ…」
青「…先輩、今日なんですけど…
あ、電話中でしたか?」
「あっ…なんでもなんでも」
青「あぁ、じゃあ今日なんですけど…」
危なかった…
人形と話してるなんて気づかれたら藤井君からなんて言われるか…
ただ、あんなにも一言一言がウザいジュンタに励まされた朝だった
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作者名:火華 | 作成日時:2024年1月6日 16時