超人ちゃんと凡人ちゃん

キスからはじまる私たち（中） ページ2

そんなゲスな私の頭の中とは裏腹に、東堂は初めて見せる顔をして目をそらした。

「……それは、」
「な、なに東堂まで赤くなってんの……」

そんな顔されたら、私どうしたらいいかわからないじゃないか。
露わになった耳たぶまで真っ赤だ。

「私も、初めてだったんだ」
「う、嘘だぁ」
「清廉潔白！ 嘘ではない！」

こんな大会の度に女の子をキャーキャー言わせて侍らせているような奴がキスもまだだったなんてあっていいはずがない。こいつは世界の敵だ！
ましてや、その相手が私なんて絶対おかしい。

「よくわからないが、名字が私をまともな目で見ていないことはわかった」
「うるさい！ 人生の成功者のくせに、私をもてあそぼうというのか！」
「失礼千万！ 先に誘惑してきたのはそっちだろう！」
「ゆ、誘惑！？ ……まさか知らない内にあふれ出る魅力が」
「完全否定」
「失敬だな、君は」

そうして何故か抱きしめられて、それも、とてもとても優しく。
私はただ、無に返って棒と化す。

「好きだ」
「あ？」
「好きだ、名字」

東堂の声は、耳元で甘やかに響く。
鋤？ 空き？ 隙！？ 隙を見せたらやられるってことか！？ やだ、何それ怖い！

「え、ええ……？」
「次はないと思え、……お前が好きだ」
「な、何で？ 何処が？ もしかして、頭おかしいの？」

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