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「うん、ならお前が代役だ」
「監督には俺から話をしておこう」
「お前は早く準備を」
「はい」
俺が返事をすれば、
すぐさまスタッフさん達は動き出す。
ヤンサ元社長もすぐにここを立ち去ってしまった。
「やぁ、ルトヤ、ほんとに大丈夫か？」
「急だし無理なら今からでも…」
「いや、大丈夫ですヒョンソギヒョン」
「結局俺がやらなくても、誰かやるんです」
「なら俺がやる方がいいじゃないですか」
「まぁ、そうだけど…」
横で黙って聞いていたヒョンたち。
俺を気にかけて、声をかけてくれる。
もちろん何の準備もしてきてない俺が急にするんだから、
何の心配もない、という訳にはいかない。
曲のコンセプトも、
次のシーンがどういうものなのか、
現状ほとんど把握してないんだから。
でも、もう、やるしかない。
『ハルト！』
『A…』
『聞いたよ、ハルトがやるんでしょ？』
『うん…』
『……大丈夫だよ、』
『え？』
『ハルトなら大丈夫、』
『絶対できるよ』
少し離れた場所で待機していたA。
騒ぎを聞きつけて俺の元へ駆け寄ってきた。
そして、何を言うかと思えば、
あの言葉。
じっと俺の目を見て迷いなく。
少し、驚いた。
当たり前に心配されると思ってたから。
でも、それを聞くと、不思議と自信が湧いた。
無条件で信頼してくれる人がいる。
しかもそれがAなら、
俺が裏切る訳にはいかない。
さっきまで強ばっていた顔。
Aの言葉を聞いて、自然と笑みが浮かんだ。
『それに、なんかあったら私がいるしね？』
『ヌナに任せといてよ？笑』
『なめんな、俺だけでも完璧にできるし？』
『ははっ笑』
『そりゃあ楽しみだね笑』
『任せとけ』
『うん、』
『じゃあ、待ってるね、着替えておいで？』
にこっと俺を見て笑う、
それに合わせて俺も口角を上げた。
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作者名：もなか | 作成日時：2022年10月4日 12時
