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「はい、終わり。痛くなかった?」

「うん、大丈夫」

「記憶、上書きできた?」

「うん、全部、はやっぱ無理だけど、この痕見ても思い出すのは多分イェダムだと思う、」

「そっか、なら良かった」



開きっぱなしになっていたボタンを
そっと閉めながら話す。

良かった、

Aの言葉を聞いた時に、
心からそう思った。

どきどきしながらでも、
した甲斐があった。

そう思った自分に俺はふっと笑った。

どきどき、だなんて、

そんな言葉が頭に浮かぶなんて、
まるで俺は、


かき消すように瞬きをして、
取れかかっていたリボンをつけ直した。



「よし、完成」

「ありがと、イェダム」

「うん、どうする?もう、帰る?色々あったし帰ってもいいと思うけど、」

「いや、帰んない。勉強、これ以上遅れたくないし、それに…」

「うん?」

「帰ってなんかあったと思われるのも嫌、」

「……大丈夫、なの?」

「うん、大丈夫、」



不安が目に見えるのに、
ぎこちなく微笑むAを見れば、
どうしようもなく、切なくなった。

そっと肩を引っ張って、
出来る限り優しく抱きしめる。

どうか、不安が少しでも軽くなりますように、

そう願う。



「ずっと、俺が傍にいるから。今日は絶対俺の傍を離れないで」

「うん、」

「もう、これから絶対あんな思いさせない。だから、安心して、」

「うん、」



小さく答えたのを聞いて、
そっと離した。

そして、「じゃあ行こっか」と言うと、
部屋を出て教室に戻った。

そこからは俺は絶対にAの傍を離れなかった。

多分、Aの想像してた以上に。

授業中もAの背中から目を離せなかったし、
どこへ行くのにも着いて行った。


ちなみに、あの男子生徒のことは、
Aの希望で学校には言わなかった。

アイドル、だし、
そんなことでファンに心配かけるのも嫌だって、
そう言われてしまえば何も言えなくて、
それに従った。

ただ、俺は後からAにバレないように、
メンバーと会社の1部の人に報告した。

世間にバレないようにするにも、
やっぱり男子生徒にも口止めをする必要はあるし、それを会社にやってもらうため。

まぁ、罪を自ら告白するような真似、
する訳はなかったけれど。

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作者名:もなか | 作成日時:2022年10月4日 12時

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