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なんだろう、この感じ、
さっきから押し寄せる焦燥感。
早足だけど、息が上がるほどでは無い、
なのに、動悸が止まらない。
男子生徒に呼び出されたA。
あれから帰ってこないなんて、
嫌な想像ばかりが頭に浮かぶ。
あそこで呼び止めておけば良かった。
慣れてしまってたから、
初めなら絶対そんなことしなかったのに、
とにかく人気の少ない場所を
ひたすらに探した。
その間も電話はかけ続けていたけれど、
それは繋がることなく、
何度も同じアナウンスが流れ続けている。
授業中で静まり返っている廊下を早足で歩く。
聞こえるのは俺の足音と制服の擦れる音。
ただ、ある部屋の前を通った時、
がたんっと物音が聞こえた。
その音に足を止める。
聞こえた方に目を向ければ、
そこは普段は使うことの無い空き教室。
俺ははっとして急いで扉を開けた。
「Aっ！」
勢いよく扉を開ければ、
視界に映る2人の姿。
片方は俺が探しに探していたAだった。
でも、
その、Aの姿を見て、
俺は一瞬で怒りが湧いた。
机に押さえつけられてるAの体。
リボンは不自然に緩み、
いつもは1番上まで止まっているシャツのボタンも、
鎖骨が見えるほどに開いている。
扉が開いたことで、
2人の視線は俺に集まっていた。
今まで見た事のないほど悲しそうに眉を顰めるAと、
驚き焦ったようなさっきドアの横に立ってたあの男子生徒。
その顔を見た瞬間、
考えるより、体が動いてた。
ずんずんと進み、
男子生徒の肩を引っ張りAから
引き離すと、ぐーでそいつを殴った。
「イェダマっ！」
その瞬間Aの大声で俺を呼ぶ声が聞こえたけど、
体は止まらない。
そのままそいつの胸ぐらを掴んで、
腕を振り上げた時、
どんっと、俺の体に小さな衝撃があった。
「もう、いいから、お願い、やめて、」
はっとして、少し下を向けば、
俺に抱きついて、止めようとするA。
それを見た時に、
俺は殴れなくなってしまって、
力を弱めた。
それに気づいた男子生徒は、
急いで俺の手を振り払うと、
焦ったように走って教室を出ていった。
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作者名：もなか | 作成日時：2022年10月4日 12時
