episode9 ページ22
イェダムside
Aは、よくモテる。
そりゃあの見た目に、
愛想の良いあの態度じゃ当たり前の話。
ほら、今も、
活動の音楽番組の待機時間。
楽屋を出てなかなか戻ってこないなと思って様子を見に来れば、
他の男子グループのメンバー2人に囲まれてる。
スマホを持ってAに詰め寄る姿を見れば、
連絡先でも聞こうとしているんだろう、
ほんと、危なっかしい。
その姿を見て、少し昔を思い出した。
俺とAが高校生の時。
同い年の俺らは同じ学校、
同じ教室に通っていた。
途中まで日本の高校に通っていたAが、
編入してきたのは高校2年の時。
あんな綺麗な子が入ってくるんだから、
そりゃその時は結構な大騒ぎだった。
休み時間になれば、
Aの顔を見にくるやつらもいて、
そうなることが分かっていたのか、
俺はヒョンたちに
「Aを頼んだよ」
と念を押されていた。
まぁ言われなくとも、
慣れない生活、
俺が傍にいようとは思っていたけど、
想像以上の反響に驚いたのを覚えてる。
そこからは、俺はほとんどの学校の時間を
Aと過ごした。
ご飯を食べるのも、移動教室も。
ふと目を離した隙に、
すぐに声をかけられるAだったから、
俺も傍を離れなかった。
でも、学年が上がって、
段々とAも慣れて、
他の友達もできた時、
敢えて、少し距離を置いた。
それが、Aのためだと思ったから。
告白、とかは相変わらずされてたけど、
もうAは俺がいなくても自分で解決出来るようになっていたし、
あんまり俺が傍であれこれやるのも、
Aの学生生活を邪魔するような気がして。
まぁ別に全く話さないわけでもない。
都合が合えばご飯も食べていたし、
教室で話すことも多かった。
だから、これが丁度いい、
そう思ってた。
だけど、
そんな時、事件が起こった。
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作者名：もなか | 作成日時：2022年10月4日 12時
