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「お好きな席にどうぞ」
「はい、あ、注文はいつもの2つで」
「はい、分かってます」
「あはっ、さすがです」
そう言うと、俺の腕を引き、
奥の4人掛けの席に座った。
ちらほらと他のお客さんもいるけど、
誰もが自分たちの時間を過ごしていて、
入ってきた俺達には気にも留めていない。
そんな、空気が俺には心地よかった。
少しすれば、
目の前にいい香りをさせるホットコーヒーが置かれる。
持ってきてくれた店長に軽く微笑み頭を下げるヌナ。
やっぱりここはヌナに似合ってる。
「これ、俺のですか？」
「うん、大丈夫だよ、ヌナも飲めないから砂糖とミルク沢山入ってるやつだから」
「別に聞いてないのに、」
「ははっ、飲めないって顔したから笑」
楽しそうに笑う。
ほんと、顔は異次元みたいに綺麗なのに、
笑うと目尻が下がって、
どこか親しみすら感じる、不思議。
そして、ヌナはどこまでも俺のことが分かるみたいで、
少しだけ顰めた眉にすらすぐに気づく。
ただ、当たり前みたいに俺がコーヒーを飲めないことを知ってるのが悔しい。
もうちょっと大人だと思ってくれてもいいのに。
「ヌナ、なんで俺をここに連れてきたんですか」
「ん？んー、疲れてそうだったから、かな。」
「……なんで分かるんですか」
「あはっ、当たり？笑うーん、なんでだろうね、ジョンウのこと大好きだからかな、」
「なんですかそれ…」
「ふふっ、照れた笑」
まだ熱いコーヒーにゆっくりと口をつけるヌナに聞けば、
少し考えて、俺の目をじっと見て答えた。
もう、ずっと翻弄されっぱなし。
言葉を聞いて、
目を見るのが恥ずかしくなって、
俺は手元のコーヒーに目を移した。
まだ熱いのは分かっていたけど、
恥ずかしさを振り払うように、
少し勢いよく口付けて、
案の定の熱さに悶えた。
「熱いのに…笑」
「っ……」
「あははっ笑可愛いね、大丈夫？」
声を上げて笑うヌナ。
なんか、馬鹿みたい俺。
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作者名：もなか | 作成日時：2022年10月4日 12時
