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残された俺とA。
まだ、頭がぼぅっとして、
俺は小さく深呼吸をする。
『ハルト、お疲れ様』
『うん、Aも』
『ありがとね、ハルトのおかげでもっといいのになりそう』
『うん、』
『じゃあ、私、次行くね？』
『疲れたでしょ？最後まで残らず程々で帰っていいからね』
『うん…頑張れ』
そう言うとまた小さく微笑んで、
楽屋へと戻って行った。
俺も、着替えないと、
なんだか、夢みたいな時間だった。
楽屋までの道、頭がどこかふわふわとしている。
ぼぅっとしたまま着替え、
メイクを落としていた時、
後ろからどんっと衝撃が走る。
「やぁ、ハルト！」
「すっごい良かったじゃん！」
「おわ、ジフニヒョン」
「ほんとに、俺は誇らしかったよ」
後ろから俺の肩を押したヒョン達。
2人とも俺よりもにこにこで、
嬉しそうに俺を見つめる。
あ、そっか、見てたよな
色んなところに頭を持ってかれすぎて、
そんなことすら忘れていた。
「でもなんか2人とも知らない人みたいだったよな｣
「うん、本物の恋人みたいに見えて、なんかちょっと悔しかったもん俺」
「こら、そういうこと言わないジフナ」
「ふっ、かっこよかったでしょ、俺」
「うん、今のセリフで半減したけどね」
いつも通りに会話をするヒョン達と話をしているうちに落ち着いてくる気持ち。
恋人みたい、
嬉しいような嬉しくないような、
そんな響きだ。
いっそ、「みたい」なんて言葉を取ってしまえればいいのに。
そんなことが頭に浮かぶのは、
今日のAの姿に毒されたからだろうか。
まぁ何にしろ、どうにもならない。
そんな考えを振り払うようにふっと笑った。
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作者名：もなか | 作成日時：2022年10月4日 12時
