紅一点の日々【TREASURE】番外編

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やっとダンスだ、
音楽を流そうと私が立ち上がり機械を操作し始めた時、
アサヒくんも隣にすっと並んだ。



『なぁA、今幸せ？』

『うん？なんで？』

『なんとなく』

『うん、幸せだよ、夢のおかげで』

『ふっ、そんなに良い夢やったんやその夢』

『うん、絶対忘れない』



私を見ることなく話始めたアサヒくん。

私がアサヒくんを見つめても、
私の操作する機械の方を見て
こちらを向かない。

私の最後の言葉を聞いた時、
やっと目が合った。

じっと見つめると、
少し目を細めて、
優しく笑った。

釣られて私も口角を上げれば、
『ならええわ』と言いながら、
頭をぽんぽんと撫でてくれる。


なぜ、そんなことを聞いたのか、
私には分からなかったけど
なんとなく私が大変に思ってたこと、
気づいてくれたのかもしれない、
そんな風に感じた。

言ってもないし、
態度にも出さないようにしてたけど、
そうやって少しバリアを張ってたことも、
私の事を昔からよく見ててくれるアサヒくんにはばれていたのかも。

だから夢に出てきたのかなぁ、なんて
少し有り得ないこと考えて、
ふっと笑えば、『なに笑てんねん』と
笑いながらつっこまれた。



『なんでもないよ！ほら！練習しよ！私ほとんど振り入れ終わってないから教えて？』

『俺が？下手くそやで？』

『なんで、上手いよ。みんな言ってるじゃん、すっごい上手くなったし、アサヒくんはいっぱい練習頑張る人だから私は信頼してるの』

『ふっ、そうなん？笑ほな、俺でよければ』

『うん！』




そこまで言うと、再生ボタンを押して、
音楽が流れ始めた。

明るく、元気が出る曲。

疲れも不安も全部を吹き飛ばしてくれそうな
テンポにメロディー。

うん、できる。
カムバも絶対上手くいく。
そんな自信が湧く。



『ほら、いくで、1、2、3、4…』


『HELLO！』

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