吾輩はヌナでありヒョンである (ページ28)

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○ペンサは程々に2 ページ28

サイン会も終盤に差し掛かり、慣れも出てきた頃、少しおどおどした女の子が私の目の前に来る。見るからに大人しげな子に、挨拶をするととても驚いたような反応をされてしまった。

「あ、あんにょんオッパ」

『あんにょん～！…緊張してる？』

そう言うと、こくこくと首を振るのがとてもおかしい。
まるで先ほどまでの自分を見ているようで途端に親近感が湧いてしまう。話せる時間は短い、なるべく緊張を解さなければと台に置かれた手を握った。

『手ちっちゃい～！ね、誰ペンなの？』

「オッパ手もすべすべで羨ましい…。あ、えっとジョシュアオッパの…」

『そうなんだ～！ジョシュアとはたくさん話せた？』

そう聞くと顔を真っ赤にして頷く。か、かわいい…。
手も控えめに握り返されて、あまりのかわいさに顔を覆った。
小柄で雰囲気もふわふわしてて、理想の女の子とはこのことだろうか。
会話しながら悶えつつあるわたしを隣のハンソルの手を握るお姉さんも笑っている。

『…ん？』

ふと目の前の彼女の耳元に光が反射した。
何か言うより先に手を伸ばして髪に隠れた耳を出してあげると、女の子の目が見開かれる。
掻き分けた髪、その耳にはクロスのピアスが心ばかりの光を放っていて、

『これ、ジョシュアと同じ？』

「え、と…うん…。」

ジスと同じところに開けられたピアス。この場所は開ける時、きっと痛かっただろうに。
メンバーを、相手を好きな気持ちで自分を変えていく。人を好きになるとこんなに頑張れてしまうのか。
ここまで考えてすごく嬉しさがこみ上げてきてたまらなくなる。

『これはジョシュアに見せたの？』

「ううん、…時間なくて」

『そっかあ…開けるの、痛かったでしょ？こんだけ好きになってもらえるなんてヒョンも隅に置けないなあ』

手は握ったまま、空いている手で彼女の耳たぶをするりと撫でるとなおのこと真っ赤になってしまった。

その後あっという間に時間がきて、
『ピアス、ジョシュアに伝えておくよ。』と去り際に声を掛けるとパアッと笑顔になった。