吾輩はヌナでありヒョンである (ページ20)

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○甘い勉強会2 ページ20

が、噛んだのは空気だった。
む、と後ろを睨むと、食べようとしたお菓子はすでにAの口の中。

「…ほんとそういうところ意地悪いよね」

『ごめんごめん、ほらもう一回』

「もういいー」

『そう言わないでジュンフィ～』

こういう時ばっかりちゃんと名前で呼んでくるのは正直、ずるいと思う。
そう思いつつもそっぽを向く僕にこれでもかと手を合わせて謝るようなポーズも今まで何度も見てきた。
けど、それをなんだかんだで許してしまう自分の甘さにも呆れてしまう。

『ねえ、ほら二個あげるから、ね？』

まだ怒っていると思っているのか、ベッドから身を乗り出して猫撫で声の彼女が僕の口元にお菓子を押し付けてくる。
ちょっとからかいたくなってなおさらそっぽを向いてみることにする。

『えっうそ、本気で怒ってる？ごめんねジュニヤ～！今度ご飯奢るから～ねえ機嫌直してまた勉強しよ～！』

あからさまに慌てるAが、それはもう面白くて口元がにやけるのを必死に押し殺していると、うーんと唸りながら背中にのし掛かってくる。
それにすら笑ってしまいそうになるのを咳払いでなんとかごまかして肩にかかる彼女の髪を払った。

「髪くすぐったいんだけど？」

『…怒ってる？』

「怒ってるって言ったら？」

『……怒ってるんじゃん』

肩にかかる髪を梳くとさらさらと指から落ちる。
先程のお返しにと無言でそれをくしゃくしゃに撫で上げると、今度は首に腕が回される感覚にこっちが驚いた。

じゃれるのもじゃれ返すのも嫌いじゃないから別になんとも思わないけど、こう、しおらしい彼女の行動は読めないから心臓に悪い部分もある。