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○甘い勉強会1 *JUN side ページ19

『ジュニ〜、アニメ見ようよ』


「勉強するって言ったじゃん」


『だって…ねえ〜、見てないのが溜まってるんだって〜』

ぱたぱた、足をぶらつかせて嫌々電子辞書を操作するAは頬を膨らませる。

今日は久しぶりの休みだ。
たまたま用事もない、宿舎に居残り組になった僕とAはこうして僕達の為の、僕たちによる韓国語の定例の勉強会を開いている。
いつも誘ってはいるミンハオはメンバーと買い物に出かけてしまいあいにくの二人きり。
季節は夏になりきらない春のような暖かい天気で、Aの部屋もそれによってちょうど過ごしやすい温度だ。

「こらそんな顔しない」

辞書に対し、彼女の膨れた頬を押すと、やめてよと言われるのも面白くて笑ってしまう。
僕はといえば手元の辞書とノートを見比べながら書き取りの練習の為、ペンを走らせていた。


『…いいなあ、ジュンは。私もそんな風に書きたいし話したい』


「話せてるし書けてるでしょ?」


『私なんてあんたの多才な才能の足元にも及ばないんだから』


「なに言っ、わっ!やめろよ」


『あはは!してやったり〜』

ベッドに寄りかかる僕の髪をくしゃくしゃに乱して満足したのか、彼女はまた辞書に目を向ける。
そして手当たり次第、色々な単語を電子辞書に喋らせるのだ。


『【감사 감격입니다】は?』


「僕に聞いてる?感謝感激です?かな」


『そうそう、よく使うやつ』


「感想とかでね、わかる」


『これは?【바보】』


「…ばか?」


『そうそう、これも使うでしょ!』


「それ、ハニヒョンがよくソクミンに言わせてるやつね」


『なんなんだろうねあれ、楽しいのかな』


けらけら。笑う声が部屋にこだまする。
笑うとお腹が空くようで、笑い終えるや否やするりと横から手が伸びてテーブルの上に広げられたお菓子をつまんでいく。

いくつかあるうち、日本のアニメのパッケージのそれは彼女チョイスである。
食べようと思いつつ、食べないまま時間の経ったスナック菓子達は、気づくとほとんどがAの胃袋へ消えていた。


残り少なくなったそれに取る気にもなれなくて、辞書に目を向けるとほぼ同時に口元にお菓子が突き付けられる。

『ジュン食べてないじゃん』

「む、自分で食べれる」

『遠慮しないでよ〜無くなっちゃうよ』

無くなるってお前が食べてるからだろ、とは言わないでおく。
けど遠慮なんてしてないんだけどなあ。 仕方なく目の前のそれにかぶりついた。

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作者名:un | 作者ホームページ:http://privatter.net/u/1230un__  
作成日時:2016年5月20日 23時

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